06.8 6th コード
Root, 3rd, 5th, 7th, 9th, 11th, 13th という王道の呼び方から外れた 6th コードについてです
「06.5 Tension とは」で、13th と 6th の音名は同じなので 6th とも言うのか? 言いませんと言い切りましたが、実は 6th コードはあります。意地悪で言い切ったのではなく、Tension は 9th、11th、13th と呼ぶのが王道なので、6th とも言いますと言うと、返って混乱させてしまうと思ったんです。私のつたない経験では、あれもこれもと一辺に言ってしまうと、相手は理解してくれません。王道の方がしっかり頭になじんだ上で、例外を出した方がわかりやすいと思いました。
では 6th です。C6 です。
Chord Tone に 6th だけ加えると C6、更に 9th を加えると C6 (9) になります。しっかり コードネームを書くとこうなります。
なぜか 6 は下の段に書きます。「06.1 コード構成音とコードネーム」で、下の段に書くのは 3rd と 7th ですと言い切りましたが、実は 6th もそうです。音を聴いてみます? まずは C6 から。
今度は C6 (9)。5th (G音) は抜いてあります。
どうですか? 乾いた感じのコードだと思います。曲が Tonic で始まる時の定番コード。Major Key の Bossa Nova では、初めのコードは C6 (9) か CM7 (9) でほぼ決まりです。そう言えば、学校の一年目にピアノが必修で、先生は Jazz の方でした。「では C を弾きます。ミラレです」と言われびっくりしました。ドミソではなくミラレ。「でも先生、Root を省略していいんですか?」「Root はベースが弾く (ので、ピアノが Root を弾く必要はありません)」と言う答えでした。
さて本題です。本題ですが、三度堆積のコードになぜ 6th があるのか、理論で説明したものを見たことがありません。なので、ここからは完全に私見になります。
「Jazz Theory Book」に 6th Chord の説明がありますが、すごく簡単で、「13th と 6th は同じ音だけど、Tonic で使う場合は 6th と言うみたい」としか書いてありません。確かに C の Chord は 13th が取れますが、C (13) とは普通書きません。Dominant 7th で使う時には、13th と書きます。なので、G7 (13) は良く見ますが、 G6 は見ません。では、6th は 13th を Tonic Chord で使う時の慣用なだけなのか?
C6 のコード構成音ですが、これ Am7 と全く同じです。Am7 の Root の A音を上に持っていくと C6 になります。と言うことは、C6 は Am7 の 1st Inversion (第一展開形) なのか? 今度は Am7 の音を聴いてみます?
どうですか? 違います? 少し違うと言うところでしょうか? 構成音は同じなんだから。では少し違うの少しはどこからくるのか? Root が C か A の違いだと思います。Root が C だと Major 感が出る。A だと minor 感が出る。
C6 も Am7 も感じが違うだけで根っこは同じでしょうか? 私は違うと思っています。C6 と言うコードはあっても C6 M7 というコードはありません。この意味するところは、 C6 が 3度堆積ではないからだと思っています。3度堆積なら CM7 に 6th を加えたコードがあってもいいはずですが、実際にはありません。C6 の C音と E音は確かに 3度堆積ですが、E音と A音は 4度です。C6 (9) の A音と D音も 4度です。つまり、3度で積み重ねた結果最後に出て来る 13th ではなく、3rd から 4度を重ねて出て来たので 6th。
「06.1 コード構成音とコードネーム」で 4度堆積のコードはイロモノだと言いましたが、実は乾いた感じのする大人のコードです。C6 の Root の C音を半音落として B音にすると B音 Root の 4度堆積コードになります。聴いてみます?
どうでしょう? C6 (9) と乾いた感じが似ていませんか? Jazz をやる人は大人の乾いた雰囲気のミラレが欲しかった。と言うことで、 C6 (6th Chord) は、
- Am7 の Inversion (展開形) ではなく、違うコード
- 3度堆積ではなく、4度堆積が色合いを出しているコード
あくまで私見です。
出だしと締めの C コードを乾いた大人の感じにするなら C6(9)、おしゃれにするなら CM7 (9) がおすすめです
This page originally written on 2021.01.13, revised on 2021.09.22
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