10.5 Modal Interchange Chord その 1

Subdominant minor Chord は Modal Interchange Chord に含まれます。

一つ反省がてら。「10.2 Church Mode その 2」で、それぞれの Mode の雰囲気を出さないといけない云々書きましたが、あれは Jazz で Mode を演奏する時の作法のお話です。この章は Modal Interchange です。つまり、いろんな Mode のコードを借用できますよと言いたい。ただ、Mode が出て来たからには、Mode とは何者でどういう種類があるんだと書かないと皆さんはわかりません。それで Mode について書いたんですが、混乱させてしまったかもしれません。Modal Jazz と Modal Interchange は別のことだと整理しておいてください。

Modal Interchange Chord を挙げて行きます。

✔️ Dm7(♭5)、Fm7、A♭M7、B♭7

もうやりました。念のため五線譜を出します。

Natural minor Scale (= C Aeolian Mode) から来た Subdominant minor Chord (SDm)。今まで思いつかなかった A♭M7 の例を見つけました。 ワイルドワンズ の想い出の渚。Again 古いですね。ただ名曲なので、時を超えて残っています。出す例がいつも古いので歌本を買いました。古くない曲を例に挙げられるように Try してみます。それまではご辛抱を。

https://www.youtube.com/results?search_query=想い出の渚

原曲の Key は E ですが、C に直すとサビ終わりの「忘れはしないいつまでも」の「いつまで」が A♭Chord です。これぞ SDm という感じがします。なぜかと言うと「いつま」のメロが E♭音だからです。E♭音はA♭ Chord の 5th (Chord Tone)。SDm を鳴らすところのメロが C Major Scale を外れた E♭音なので SDm 感が満載になります。

SDm に当てるメロを作る時 2つやり方があると思います。一つは、C Major Scale 音 (Diatonic)。もう一つは上の例のような CNm の Non Diatonic 音。ここは考えどこです。Non Diatonic 音をメロに使いすぎるとダサく or しつこく感じる時があります (私の場合)。

✔️ D♭M7

これもやりました。

赤枠です。これもコードの機能は SDm です。ちょっと頭がごちゃつく事を言います。ついて来てください。D♭M7 の今までの説明は、C Phrygian の2番目のコード。ただ、C Locrian の2番目のコードも D♭M7です。C Locrian です。赤丸が D♭M7 の Chord Tone。

C Phrygian Mode です。 こちらも D♭M7 ができます。どこが違うかと言うと、Mode の 5番目の音が Locrian は♭5 (=11th) に対して、Phrygian は Natural 5 (=♯11th) です。

ではこれがどのように作用するか? C Major Scale に C Phrygian の D♭M7 を持って来た時の Tension は C Major Scale 音 or C Phrygian Mode 音。C Major Scale 音で Chord Tone 以外を埋めると取れる Tension は ♯11th になります。一方 Phrygian Mode で取れる Tension を見ると 9th、♯11th、13th になります。「09.2 Subdominant minor Chord の Tension」に書きました。C Locrian で見ると、取れる Tension は 9th と 13th。使える音は多い方が良いので、ここだけ見ると D♭M7 を C Phrygian から持って来た方が良いに決まっている。ただ、D♭M7 に続いて F♯ 音が入った Locrian のコードを鳴らしたいと言うならその前の D♭M7 は確かに Locrian とです。そうなると ♯11th は使えなくなります。

✔️ Dm7 (♭5)

「もうやった。上に書いてある」そうなんですが、上の Phrygian と Locrian のくだりはわかりました? D♭M7 にも借用する Mode が 2つあるので、Dm7 (♭5) も借用先の Mode が CNm (= C Aeolian) 以外にもあるんだろうと思って探すと 2つありました。

✔️ Fm7

CNm Scale (C Aeolian Mode) からの借用だと言いました。他にも借用できる Mode があります。  C Phrygian Mode の4番目のコードが Fm7。

C Locrian Mode の4番目のコードも Fm7。

✔️ A♭M7

CNm Scale (C Aeolian Mode) からの借用ですが、 C Phrygian からも作れます。

✔️ B♭7

CNm Scale (C Aeolian Mode) からの借用ですが、C Mixo ♭13 からも作れます。

C Locrian ♯2 からも作れます。

上で見て来たように借用コードの出処は複数あります。借用したコードは同じでもその後ろでスタンバッている音が違って来ます。あるコードの上でメロを作ろうとする場合、またコードの上で Improvisation (アドリブ) をする場合、使える音の選択肢が増えます。例えば、すぐ上の B♭7 ですが、CNm 由来だと見ると E Natural ではなく E♭音が鳴りますが、C Mixo ♭13 Mode 由来だと見れば E音が使えます。では実際私がそこまで意識して曲を作っているか? 作っていません。修行が足りませんね。

なんだかんだ言っても、SDm が Modal Interchange Chord の中の主役級です

This page originally written on 2021.03.15, revised on 2022.03.14

長年サラリーマンで現在プロ作曲家志望です。

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