10.1 Church Mode その1
Mode でできた曲と Modal Interchange (旋法交換) で Mode から借りてきたコードの話は別物です
このページは Church Mode についてなんですが、その前に書いとかないといけないことがあります。皆さんを混乱させてはいけないので。
Mode には二つの側面があります。一つは曲自体が Mode でできていると言う側面。もう一つは曲自体は Mode ではできていないが、コードだけ Mode から借りて来ると言う側面のことです。ここはきれいに分けておかないと混乱します。
- 曲自体が Mode:ページの 10.1(このページ)から 10.3 までは曲自体が Mode の説明です。特に興味なければ飛ばしてもらって構いませんが、下の Church Mode の名称は覚えてください。
- コードを Mode から借りてくる : 10.4 〜 10.7 がコードを Mode から借りてくる、つまり Modal Interchange Chord の説明です。
Church Mode (教会旋法) は C Major Scale のそれぞれの Scale 音から始まる Mode です。それぞれ名前がついています。この名前がギリシャ (正確に言うとかつてギリシャが支配していた)の地名とか島の名前で最初は違和感を持ちます。ただ覚えるしかありません。
並べてみます。
- Ionian (アイオニアン・イオニアン) : C音から。
- Dorian (ドリアン) : D音から
- Phrygian (フリジアン) : E音から
- Lydian (リディアン): F音から
- Mixolydian (ミクソリディアン): G音から
- Aeolian (エオリアン) : A音から
- Locrian (ロクリアン) : B音から
覚えられます? 覚え方としてよく言われるのが各 Mode の頭を取って「イドフリミエロ」。ただ、この文字の羅列には何の意味もないのでこれが得策かはわかりません。呼び方ですが、C から始まる Ionian は C Ionian。D から始まる Dorian は D Dorian と呼びます。以下同文。C から 始まる Dorian は C Dorian です。
私が持った疑問。「どの音から始めようが白鍵だけなんだから、白鍵だけ使えば良くて、御大層に Mode とか称して名前をつける必要なんかない」。ただこれは間違いでした。例えば Dorian だと D音から始まりますが、この D音が主役になります。そうすると、C Major Scale or C Ionian で主役を張っていた C音は脇役になります。主役の交代で同じ白鍵を使っても曲の雰囲気は変わります。納得感あります? ないですよね。例えば D Dorian で Dm7 – G7 – CM7 と進行すると誰でも C Major Scale だと感じます。調性 (Tonality) を強く感じる II – V – I 進行なんですから。ここでは、主役コードであるべき Dm7 が完全に脇役になってしまっています。Dm7 を主役に立てるには、そのための仕掛けが要ります。次のページで書きます。
Mode をわかるために大切なのは、全部 C音から始めることです。CNm の時と同じです。Natural minor は A音から始めれば全部白鍵で C Major Scale と使う鍵盤は同じです。こうなると minor Scale なんか Major Scale と同じようなものだと思ってしまいます。C音から始めると黒鍵が出てくるので、これで各 Mode の違いがわかるようになります。
まず C音を起点に Mode を五線譜に乗せます。
✔️ Ionian
青線のところが半音です。「CHとは何だ?」。Characteristic Note。日本語で特性音です。他のモードと違うと認識させるその Mode の特徴的な音です。ピンと来ないですよね。次のページでまとめて書きます。
皆さんの思う疑問。「C Major Scale とどう違うんだ?」学校では同じでした。本当はちょっと違うと言う雰囲気を出しつつ「同じ」と言う説明。どうもちょっと違うようです。ただ、どう違うか? 学校の教科書を見るとIonian らしさ (Major Scale との違い)を出すためには、「旋律的には軸音への終止の際に第七音を避ける」とあります。つまりは締めでシ〜ド〜とやらない。軸音というのは英語は Axis (アクシス) と言い主役の音です。C Ionian なら C音、D Dorian なら D音。もう一つ。「和音を三和音構造にしない」。三度堆積の三和音はモロに Major Scale 感が出るので、そうではない和音を取り入れろ、と私は理解しました。まあ、教科書も言っているように「Ionian を用いた実例を現代の音楽から探すのは困難だろう」なので、C Major Scale と C Ionian Mode は同じという整理で全く問題ありません。
✔️ Dorian
半音の位置が Ionian より一つ左に来ました。当たり前ですよね。Dorian でできた曲として学校の理論の授業では Scaborough Fair (Simon & Garfunkel) 、ピアノの授業では Miles Davis の So What をやりました。So What は前半が D Dorian、後半が E♭ Dorian です。とこう書くと、いかにも私が Jazz Piano を得意としているように見えますが、ピアノはド下手ですし、Jazz もほとんどわかっていません。Scaborough Fair については次のページで解説を Try します。
✔️ Phrygian
個人的には好きな Mode です。ピアノで弾いてもらうと、きらびやかとはかなさを合わせ持ったような。曲が思いつかないのでネットを見たら、一番有名どころは Chick Corea の Spain でした。確かに。ただここでは引用しません。メロがアランフェス協奏曲の第二楽章 (すごく有名) でメロ自体は Phrygian ではなく BNm だと思います。Improvisation に入ると確かに Phrygian が聴こえますが、全部 Phrygian か私の耳では自身がないので。
✔️ Lydian
Church Mode の中で一番明るい Mode です。C音から始まり F♯音まではずっと全音です。私の感じだけですが、C音から始まり半音が早く出てくるほど暗くなります。Lydian ですが、明るくて良いというより、これも個人の感想ですが、どこかに行っちゃっている感がしてあんまり惹かれません。思いつく曲がありません。
✔️ Mixolydian
Mixolydian と言えば Herbie Hancock の Maiden Voyage (処女航海) で決まりという風情で学校のピアノの授業でやりました。話逸れます。コロナ前まで Herbie Hancock は Blue Note 東京に時々出てましたが、チケットが 3万8千円と他アーティストと比べてもバカ高でとても手が出ませんでした。それだけ大御所っていう訳ですね。
✔️ Aeolian
Mark Levine の Jazz Theory Book に「Aeolian は Natural minor Scale とも呼ばれます」と書かれています。Ionian と Major Scale のような微妙な違いもなさそうです。
✔️ Locrian
この Mode だけ特性音が二つあります。はっきり言って使いません。Mode の中で一番暗い。
Church Mode は 7つですが、Ionian と Aeolian は Major Scale と Natural minor Scale に任せれば良い。Locrian も使わないので、ちゃんと覚えないといけないのはそれ以外。Dorian、Phrygian、Lydian、Mixolydian の 4つになります。
Ionioan 〜 Locrian。ヘンテコな名前ですが覚えてください
This page originally written on 2021.03.10, revised on 2022.01.10
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