11.1 裏コード

よく使います。特にコードを半音づつ下行させたい時に

裏コードは通称です。ちゃんと言うと、代理 Dominant or 置換 Dominant です。英語は Substitute Dominant。普通ちゃんとは言いません。「G7 の裏の D♭7 を」みたいな使い方をします。裏コードが何かと言うと、同じ Tritone を持った Dominant 7th をそう呼びます。

03.7 五度圏その2」でチラッと書きました。同じ Tritone を持ったコードは反対側です。G7 の反対側は D♭7 です。

Tritone は一番不安定な音の組み合わせで C に進行して不安定さを解消したい。G7 と同じ Tritone を持っている D♭7 も C にどうしても進行したい。要らない 5th は入れずに書くとこうなります。青線が Tritone の解決です。

面白いのは G7 の Root の G音 と D♭7 の Root の D♭音が Tritone です。これ考えてみたら当たり前です。G7 の 3rd の B音と  7th の F音の Tritone は D♭7 になると 3rd が F音に、7th が B音にひっくり返ります。と言うことは、 五度圏だと真逆の場所になります。真逆の場所とは、五度圏で G音から右回りでも左回りでも一番離れた場所です。それが D♭音。一番離れた場所 = Tritone。

G7 ⇨ CM7 です。

D♭7 ⇨ CM7 です。

どうでしょう? 使えそうじゃん、と思いません? これを Two Five に取り入れると、Dm7 – D♭7 – CM7 とChromatic (半音)に降りて行くコード進行になります。

横にそれますが、CM7 にChromatic に進行するコードとして、D♭7 or D♭M7 の選択があります。D♭7 ⇨ CM7 はこのページで扱っている裏コードからの主和音である CM7 への解決。つまりは Dominant Cadence。D♭M7 ⇨ CM7 は SDm の D♭M7 から CM7 への Subdominant minor Cadence。どちらも使えるので聴いた感じで良い方を選んでください。

裏コードはまだあります。二次 Dominant も裏コードが使えます。

Em7 – A7 – Dm7 – G7 – CM7

Dm7 – G7 – CM7 は超定番の Two Five。A7 は Dm7 に進む二次 Dominant。最初のEm7 は曲頭に出てくるなら A7 の Connected II ではなく、Tonic の Em7と見ます。この進行の 7th Chord を裏にして見ると、

Em7 – E♭7 – Dm7 – D♭7 – CM7

に変えられます。これだと Em7 から始まり最後の CM7 までずっと半音下行して行きます。私がすぐに思いつく曲は Antonio Carlos Jobim の One Note Samba です。古いですが、名曲です。

https://www.youtube.com/watch?v=WUcBgvyiMO0

Jobim は G の Key で歌っていますが、C に直します。出だしが正に上で書いた Choromatic 下行進行です。ギターのコードを聴いて下さい。One Note Samba は サビ手前まで G音と C音だけです。なので One Note Samba。「 Two Notes Samba が正しい」。まあ、Two Notes Samba では曲名になりませんから許容の範囲でしょう。上の進行の時は G音だけが鳴っています。G音は、Em7 では 3rd、E♭7 でも 3rd、Dm7 の 11th、D♭7 の ♯11th です。なので Smooth に流れて行きます。ちなみに著作権があるのでお聴かせできませんが、Em7 – A7 – Dm7 – G7 – CM7だとめちゃくちゃダサく聴こえます。メロが G音だけで退屈なので、コードをオシャレにする必要があります。ベタなコード進行だと G音だけのメロを支えきれません。

さて、取れる Tension です。D♭7 も二次 Dominant の裏コードも取れるのは 9th、♯11th、13th です。学校でこう教わりました。なぜこうなるかいろいろ考えてはみたんですが、わかりません。二次 Dominant の時は Chord Tone を置いて、残りを C Major Scale 音で埋めるのか or 二次 Dominant が進む先の Diatonic Chord の調で埋めるのかとかやりましたが、この手法は通用しません。Dominant 7th なんだから、少なくとも Altered Tension は全て取れるはずだと思うんですが、実際鳴らして見るととても取れる Tension には聴こえません。解ける宿題なのかわかりませんが、一応宿題にさせて下さい。取り敢えず取れる Tension は9th、♯11th、13th と覚えて下さい。

まだあります。裏コードの Connected II の話です。Dm7 – G7 – CM7 が Dm7 – D♭7 – CM7 に変わりましたが、D♭7 になったなら Connected II も D♭7 の P5  上の A♭m7 が使えると言うお話です。同じ話が代理二次 Dominant の Connected II にもあります。ただ、個人的にはかなり無理があるんじゃないかと思っています。実際、A♭m7 – D♭7 – CM7 を鳴らすとD♭7 から CM7 に行った時にものすごく変だと感じます。これは多分 A♭m7 – D♭7 とくれば次は G♭M7 だと思ってしまうからだと思います。表 (おもて) の 二次 Dominant の場合、着地するのは Diatonic Chord なので違和感はありませんが、二次 Dominant と Connected II をどちらも裏にするのはかなりの技が必要なのでは? 

G7 をそのまんま使うのに抵抗があるときにもD♭7 を選択できますが、メロと合うかは一考が必要です

This page originally written on 2021.03.21, revised on 2022.06.04

長年サラリーマンで現在プロ作曲家志望です。

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