Ex-01 チューリップの Aメロのコード付け

いくつかやってみます。

✔️ その1   定番のコード付け

ネットを見てもこれが一番普通のコード付けのようです。C のコードが振ってあるところに出てくるドミソは C の Chord Tone なので文句の付けようがありません。安定感もあります。ただ、安定感ありすぎで面白くないとも言えます。お絵描きでここは真っ赤に塗りましょう的な。 C のところに出てくる レ (D音) ですが、これも問題ありません。だって C のコードの 9th で取れる Tension なんですから。同じように G のところにある ミ (E音) も G の 13th で取れる Tension です。こう書くと、「そういう説明ではなく、レ は 経過音だから問題ないと説明するのが正しい」と言う方が出てくると思います。そうなんですが、まだ経過音をやっていないので、今は 取れる Tension で説明しておきます。

✔️ その2   ちょっと細かく

細かくなりました。レのところに G を置いています。これぞケチのつけようのない、逆に言えば面白くも何ともないコード付けです。ただ、これ問題が一つあって、速く弾く時には手が間に合いません。速く弾くときには、その1 のコード付けになります。

「レは Dm の Root なんだから Dm は置けないのか?」もちろん置けます。ドレミを C – Dm – Em にすることもできます。 C – Dm – G7 でもいいんですが、ミは二分音符で音価 (音の長さ)が長いので G7 を置くと 13th のミとちょっと合わないかなと言う感じを私は受けます。ちなみに C – Dm – Em – F は定番進行の一つです。

✔️ その3   出だしを Subdominant に

出だしを FM7 にしました。CM7 から出るのは安定感がありますし、誰の耳にも違和感がないんですが、その分単調に聴こえます。良い例があります。 映画 Sound of Music に出てくる My Favorite Things と言う曲。と言うとわからないですよね。JR のそうだ京都に行こうで使われている曲と言えばわかりますよね。あの曲のAメロ最初の4小節と次の 4小節のメロがまったく同じです。最初 Am から出ますが、次の 4小節は F です。0:32 から聴いて下さい。

https://www.youtube.com/watch?v=0IagRZBvLtw&list=RDCMUCrTfANCts5enz7j-KBo2fnw&start_radio=1&t=29

同じメロを同じコードで繰り返すのはさすがに芸がないというか、退屈感がでてきます。そこで最初は Am (Tonic) で出ますが、次は F (SD) にして雰囲気を変えています。FM7 は Avoid Note がありませんし使いやすい。

✔️ その4   5度の Cliche (クリシェ)

Cliche はちゃんと言うと Line Cliche です。英語ですが、Cliche は元々フランス語です。英語はフランス語をいっぱい取り込んでいますが、その一つだと理解してます。Cliche は同じコードが続く単調さを避けるために、コードの 1音を動かしていく進行です。この例は C の 5度である ソ (G音) を半音づつ登って下がります。

この Cliche を見事に使ったのが リムスキー コルサコフのシェラザードです。第3楽章若い王子と王女が始まってすぐにこの 5度の Cliche が使われています。弦が溶けていていいですね。余談ですが、その後出てくるクラリネットの速い駆け上がり下がりは Phrygian Mode です。

https://www.youtube.com/watch?v=6kWWI87l62c

もう一つやり方があります。ソを動かすのではなく、Root のドを下げていくやり方。ド – シ – ラ –  ソ と下げていきます。5度 Cliche は半音づつ動かしますが、Root を動かす Bass Cliche (ベースクリシェ) では Scale 通りに下りていきます。

✔️ その5   minor の Bass Cliche (クリシェ)

今度は Am の Bass Cliche です。minor Chord の Cliche は半音づつ下りていきます。Am の Root 音を変化させているので、例えば Am/A♭では当然 A音は鳴らしません。Cliche のあと FM7 に行くのはすごくよくあるパターン。だって Root を半音づつ下げたら行き着くところは FM7 (3rd 抜きの)ですから。

多分この Cliche を使った一番有名な曲は The Beatles の Michelle だと思います。初っ端のイントロと各コーラスの最後に出てきます。

https://www.youtube.com/watch?v=WoBLi5eE-wY

FM7 以降ですが、音を一つづつ動かしてつないでいます。

✔️ その6   F♯m7 (♭5) から始める

皆さんが思うこと。「突然 F♯m7 (♭5) を出して何考えているんだ」すいません。その通りです。これ今はサラッと、FM7 の代理 Subdominant と言っておきます。このコードは結構使えます。と言うか私の場合すぐに飛びついてしまう悪い癖があります。F♯m7 (♭5) は FM7 の Root が半音上がっただけで残りは A音・C音・E音と FM7 と同じです。鍵盤の A音の右隣の B音は Natural 9th なので取れる Tension。C音の右横の D 音も同じく取れる Tension。と言うことは、ラシドレミと白鍵が 7つある内の 5音で使える便利なコード。それに加えて、F♯m7 (♭5) から FmM7 (または Fm6) に行き更に Em7 に進むことでスムーズなコードの流れを作ることができます。

「FmM7 もまだやっていない」確かに今までやったのは CHm と CMm の1度の CmM7 だけです。ただ、私の使用頻度だと CmM7 はまず使いませんが、F♯m7 (♭5) から Em7 に進むつなぎ役として FmM7 はよく使います。

✔️ その7   B♭を使う

C6 と B♭M7 が交互に出てくるパターン。これ「10.3 Church Mode その 3」で書いた Mixolydian Mode です。 この交互の連続パターンってよく聞きます。と言いながら、最近の曲の例が出てきません。かなり古いんですが、Sergio Mendes & Brasil 66 が The Beatles の Norweigian Wood をカバーしているので聴いて下さい。Aメロ全部がこの繰り返しです。

https://www.youtube.com/watch?v=n70g2lDLMuc

録音は多分 1970年だと思います。めちゃくちゃ古い。どうでもいいことを言うと、1970年は大阪万博の年で、正にこのメンバーで来日して万博ホールで Live をやりました。Live at Osaka Expo ’70 と言う Live Album を出しています。確かその翌年にはメンバーが変わっているのでこの年の録音のはずです。

長年サラリーマンで現在プロ作曲家志望です。

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