16.1 クリシェ

クリシェはちゃんと言うと Line Cliche です。Line は英語ですが、Cliche は元々仏語です。スマホの辞書で見たら決まり文句・定型表現とあります。正に定型進行です。私のいた学校で教わったのは、「単一コード内で構成音がスケール的に変化する」技法です。たとえば C のコードの C がド – シ – ラ – ソと2度づつ (つまりスケール的に) 落ちて行く進行を Cliche と言います。

Ex-01 チューリップの Aメロのコード付け」でも書きましたが、私の勝手な意見を言うと、世界で一番有名な Cliche は Beatles の Michelle だと思います。Cliche が仏語だったので歌詞も仏語にしたんでしょうか (な訳ない)。初っ端のイントロと各コーラスの最後に出てきます。

https://www.youtube.com/watch?v=WoBLi5eE-wY

minor の Bass Cliche です。Fm の Root の F が下行して行きます。C の Key に直すと Am の Root の A音が下行して行きます。最近の曲で Cliche の例を見つけました。ヒゲダンの Hello。これも minor の Bass Cliche。3 コーラス目の初っ端から Root が落ちて行きます。「あのビルの屋上見下ろす街中の景色は一つの模様」。ベースの音を聴いてください。03:10。

https://www.youtube.com/watch?v=p1qM75a9FeE

Cliche は Michelle のように前に出るパターンとサラッと聴かせるヒゲダンのパターンとどちらもあります。サラッと or 何気に Cliche を入れている曲とかアレンジはいっぱいあります。逆にこれぞ Cliche みたいな聴かせ方はあまり流行らないと思ってます。

まず押さえておくべきポイントです。

  • Cliche は Major Chord と minor Chord の両方で使えます。つまり Major Key とか minor Key とかは関係ありません。
  • 動かすのは普通 Root と5度です。3度は絶対に動かしません、というか動かせません。
  • Root と 5度はコードの一番下に置いて動かしても一番上で動かしても Okay。

✔️ Major Chord の Root の Cliche

ド – シ – ラ –  ソ と落ちて行って他のコードにつながるパターンとド – シ – ラ – シ – ド と戻るパターン。見ての通り上部コードは全部 C です。C/B の構成音は CM7、C/A は C6、C/G は C です。混ぜこぜにしてはいけないのは、たとえばベースラインを綺麗に落としていこうとして、C – G7/B – Am – C/G (ド – シ – ラ –  ソ) というコードを並べることがありますが、これは Cliche ではありません。Cliche はあくまで「単一コード」で作るものです。

✔️ minor Chord の Root の Cliche

minor Key 限定ではありません。Major Key の中にあっても minor Chord であれば使えます。。C Major Key でよく使う minor Chord の Cliche を 2つ出します。

まず Am の Cliche。上に書いた Beatles もヒゲダンもこの Cliche です。一番聴くCliche。

Am/G# の構成音は AmM7。Am/F♯ は Am6。minor Chord の Cliche の場合、Am – AmM7/F# – Am7/G – Am6/F# と書くのが一般的なようです。音を聴いてください。音は五線譜より Octave 下にしてあります。

次は Dm の Cliche です。

✔️ 5度 の Cliche

Major Chord・minor Chord 共通です。Root を動かすのを Bass Cliche と言いましたが、5度を動かす Cliche を英語で何というのか知りません。ネットも覗いてみたんですが。

Ex-01 チューリップの Aメロのコード付け」で書きましたが、リムスキー コルサコフのシェラザード 第3楽章 若い王子と王女でこの 5度の Cliche が使われています。

https://www.youtube.com/watch?v=6kWWI87l62c

 

長年サラリーマンで現在プロ作曲家志望です。

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