16.3 Sequential Motion
シークエンシャル モーション。日本語でピタッとはまる言葉はないと思います。意味は同型和音の連続です。m7 のコードなら m7 のコードが半音の動きで (Chromatic に)連続して現れます。半音の動きでよく出るのは「11.1 裏コード」で書いた One Note Samba のパターン。
Em7 – E♭7 – Dm7 – D♭7 – CM7
これは m7 コードと 7th コードが交互に現れるので Sequential Motion ではありません。Em7・Dm7・CM7 は Diatonic Chord なので問題ないですよね。E♭7 は Dm7 の 2次ドミナントの A7 の裏コード。D♭7 は G7 の裏コードです。このように裏コードを使うと Chromatic にコードが流れて行きます。これに対して Sequential Motion では Em7 – E♭m7 – Dm7 と同じ m7 コードが半音で動きます。
Em7 – E♭m7 – Dm7 – G7 – CM7 の動きです。聴いてみてください。
全然おかしくないですよね。今まで書いたのは学校で教わったとおりなんですが、その理論としての裏付けは教わりませんでした。なので、今から書くのは私個人の考えになります。
皆さん Walking Bass って知ってます? Jazz でベースが歩くように四分音符を刻んでいく奏法です。典型的なパターンを聴いてください。
F Clef (へ音記号)わかります? 赤丸で囲ったのが F♯音です。F♯ は C の Chord Tone でも Tension でもありません。これは Approach Note と呼ばれ、次の G音にアプローチする音です。F – F♯ – G音と半音で流れます。今はベース音だけですが、コード楽器が C のコードを鳴らしていても変には聴こえません。
何が言いたいかと言えば、人間の耳は半音の動きを許容すると言うことです。カラオケでのしゃくりも Approach Note の一種だと思っています。
一つ例を出します。もうずっと前に亡くなりましたが、ブラジルの天才ギターリストと言われた Baden Powell (バーデンパウエル) の Astronauta (宇宙飛行士) です。人類初の宇宙飛行士ガガーリンに感動して作った曲です。相変わらず例が古い。イントロと言っても最初ゆっくり入って本チャンのイントロが始まるのは 01:03 からです。ここの動きが E♭6 – D6 – D♭6。C の Key に直すと、C6 – B6 – B♭6 です。全然変には聴こえないはずです。
https://www.youtube.com/watch?v=x9BLu1zL4LI
これを説明するのは少し厄介です。お付き合いいただけます? 私の解釈ではこれは Sequential Motion です。上で Em7 – E♭m7 – Dm7 の例を出しましたが、Em7・Dm7 とも Diatonic Chord です。Astronauta の場合、C6 は Diatonic ですが、B♭6 は Diatonic ではありません。ただ、C の Chord と B♭のコードを行き来するコード進行はすごくよくあり、これも私の解釈ですが、Mixolydian Mode の B♭です。なので、 同じ型のコードで動く Sequential Motion が成り立ちます。Diatonic Chord に挟まれる Chord の鳴りがあまり長くなければ人間の耳は快くこの動きを受け入れると言うことです。
理論というほどのものではありません。「結局聴いた感じかよ」。そのとおりになってしまいました。
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