18.2 Closed Voicing と Open Voicing
皆さん Voicing は好きになれないと思います。五線譜の上で音符と格闘しないといけないのでやっているとだんだんイライラしてきます。特に鍵盤ではなくギターをやっている人はコードを押さえれば Voicing のような細かいことを考えなくてもいいだろうと普通は思います。私もそうでした。コードどおしをどうスムースに繋ぐかと言う横の動きを飛び越えたところにギターが出すコードの面白さがあるとも言えますし。
ただ、覚えて損はないと思います。コードが C で ドレミ〜とメロが鳴っているときに、ドレミ〜の下にどの音を重ねるんでしょう? ドとミはわかりますよね。C の Chord Tone を置けばいい。ならレはどうですか? 考えますよね。これに答えをくれるのが Voicing の理論になります。
Voicing は日本語では声部配置法です。学校で教わりました。ただ、日本語で言う人はいません。Voicing と英語で言います。声部は各音の位置のことです。普通は 4声で音を重ねます。4声の一番上は Top Voice or Lead Voice or 第一声部と言います。メロのことです or メロが他で鳴っているときに Counter メロを鳴らしているコードの一番上の音です。うるさいことは思わずメロのことだなと理解してもらって Okay です。
Voicing とクラシックの和声学は少し違いますが、その違いには今入りません。ただ、私の理解する一番大きな違いは、和声学の一番低い声部の Bass は正にベースの役割をしている。一方、Pops の Voicing は、ベースが下の方で Root を弾いてくれていると言う前提で 4声を重ねます。これは、Big Band Jazz から発展した理論だからだと私は思っています。
- Closed Voicing : 4声が Octave 以内に納まる Voicing。
- Open Voicing or Spread Voicing : 4声が Octave 以上。
4声が Octave 以内・以上と言うのは、4声の外声 (Top と Bottom) が Octave 以内 or 以上ということです。
下の五線譜を見てください。メロが Chord Tone だけでできています。適当に作りました。
このメロの下に音を重ねます。4声の加えて Bass を鳴らしています。
楽譜は Octave 上げて書きます。F Clef (へ音記号) が嫌いな人も多いと思うので。
これは簡単ですよね。Top Voice が Chord Tone なので、その下に他の Chord Tone をくっつけただけです。メロが Chord Tone なら苦労しません。4声が全部 Octave 以内です。これを 4 Way Close Voicing と言います。
4声密集配置。ただ一つ問題があります。学校ではしない方が良いと先生は言っていました。つまりは Must ではなく推奨。何かと言うと、下の赤く囲んだところです。
ここ半音です。CM7 は C音が Top Voice なら必然的に半音下の B音が半音で重なります。コードの上の方で半音が重なるとどうしてもコードが濁ります。なので、理論としては五線譜の通りなんですが、重ねない方が良いと先生は言ってました。私もそう思います。今篠田元一さんの実践コード・ワークを見直しましたが、確かに Top Voice の半音下に音が置かれている例は一つもありませんでした。
CM7 の B音を下に持っていくと 4WCL にはなりません。ずっと 4WCL でタイトな感じできているのにここでだらけてしまいそうです。「どうすりゃいいんだ?」CM7 を諦めて C6 にすることだと思います。FM7 を諦めて F6 にする。こうすれば 4WCL が維持できます。ただ、M7 の持つキラキラした感じがホコリを被ったようには聴こえます (私には)。
今までが Closed Voicing の基本です。
次に Open Voicing です。上で書いた通り 4声が Octave 以上になると Open Voicing と呼ばれます。このページでは一番使われる Drop 2 と呼ばれる Open Voicing について書きます。4音重なっている上から
- 第一声部・Top Voice・Lead Voice
- 第二声部・Second Voice
- 第三声部・Third Voice
- 第四声部・Bottom Voice・最下声部
と言います。4WCL で積んだ4声部の内、第二声部を Octave 下げるのが Drop 2 です。上の譜面を Drop 2 にしてみます。緑色が Drop 2 で Octave 下がった音です。
聴いてください。今までより Octave 上げています。今まで通りだと Octave 下がってきた音が Low Interval Limit に引っ掛かってしまい、ゴーンと言う不快な響になるからです。
Drop 2 は当然ながら Open Voicing です。
ここまでは楽勝ですね。
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