Ex-37 「君が代」は Mixolydian or Dorian? その1
Dorian の曲がないか頭を巡らしている中で、「君が代」ってもしかして Dorian かもと思ったんですが、そう簡単にはいかないと気がつきました。と言うことで、純粋に楽曲としての「君が代」のお話です。
普通これをドレミファで歌うと「レドレミソミレ〜」となります。多分小学生の頃に先生からそう歌わされたのが体に染みついているんだと思います。このメロの面白いところは、レで始まり、レで終わるところです。あまりないですよね。クラシックの和声楽ではドミソのどれかで始まり、終わりはド or ミにしろと言われます。今時の Pops ではたとえば終わりを CM7(9) にして 9th のレで終わるパターンもあります。それでもやっぱり国歌がレで始まりレで終わる不思議感はあります。
ネットで見ると日本の伝統旋法という説明がありますが、それは棚の上に置いて、Pops の理論からどう説明するのかと言うのが本日のお題です。
まず、「レドレミソミレ〜」の譜面です。
D音で始まり D音で終わります。音符に臨時記号 (♯・♭) がないので、D Dorian と言う当たりを付けて譜面を見るとその通りに見えます。次に D MIxolydian ではないかと見てみると、D Mixo でも当たりです。D音が軸音 (Axis) だと見ると 3番目の F音 or F♯音がありません。Dorian or Mixolydian の別れ目はこの 3音なので、3音がないとどちらか判定できません。
E Phrygian か? 特性音 (Characteristic Note) の F音がないので流石に E Phrygian は無理があります。F Lydian ? 軸音がないのでこれもダメ。B Locrian ? こんなの論外です。
では臨時記号がないなら単純に C Major Scale (C Ionian) はどうか? D ではなく C Ionian です。C Ionian の特性音は F音です。これがないのに、Ionian はちょっと無理があります。同じく臨時記号がつかない A Aeorian (A Natural minor Scale) ? これも特性音が F音なのでダメです。
F音がないなら C Pentatonic Scale と考えられないか? C Pentatonic は F音とB音がないいわゆるヨナ抜き音階。音階の 4番目と 7番目が抜けるのでこう呼ばれます。残念ながら B音があるので Pentatonic でもありません。
ここで話を蒸し返します。上で C Ionian と A Aeorian は特性音がないのでダメだと書きましたが、これ C Major Scale と A Natural minor Scale もそう整理できるのかと言う点です。Major Scale で 4番目の音 (C Major Scale なら F音) はないけど 7番目 (B音) はある曲、Natural minor Scale で 6番目の音 (A Natural minot Scale だとF音)はないけど 2番目の B音はある曲は結構あります。
歌本を見たら堺正章さんの「さらば恋人」、西田敏行さんの「もしもピアノが弾けたなら」、北山修さんの「悲しくてやりきれない」、寺原綾香さんの「Jupiter」。「Jupiter」はイギリスの作曲家 Holst の組曲 「Planets」(惑星) の曲なのでこのイギリスの大作曲家もこの曲では F音を使っていないことになります。いずれの曲も F音がないので コードにも F音を使っていないと言うことではありません。コードでは F音が鳴っています。あくまでメロに F音がないだけです。
なので、あくまで可能性ですが、C Major Scale or A minor Scale はあり得ます。
他にないか? と考えて見ると、G Mixolydian はありです。臨時記号なしで行けます。「レドレミ〜」ではなく「ソファソラ〜」でも歌えます。
上に書いたことをまとめると「君が代」で使われている Scale or Mode として考えられるのは、
- D Mixolydian
- D Dorian
- C Major Scale
- A Natural minor Scale
- G Mixolydian
になります。
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