Ex-40 「君が代」は Mixolydian or Dorian? その4

前のページは説得力がないですね。読み返してそう思いましたがしょうがないので前に進みます。C Major Scale で説明できるかです。

 まず、メロに F音がないので F音抜きの特殊な Scale or Mode かと言う点です。ネットを見るとメロ自体は日本の伝統旋法のようなので、多分 F音抜きの旋法だと思いますが、コードを見るとDm とか F とか F音はバンバン出てきます。

Ex-37 でも書きましたが、メロに F音がない曲は結構ありますが、コードは F音を含むコードを使っています。なので、これも C Major Scale だと見てもおかしくはありません。

実際にはこのメロを吹奏楽用に編曲した (和声を重ねた) のは海上自衛隊のホームページだとドイツ人で 1880年代のようです。1880年代とは欧州ではロマン派の時代でクラシックの和声楽が和声の基本だったはずで編曲もそれに沿ったものだと想像できます。なので C Major Scale と見れるのか主にクラシックの和声楽から見ていきます。

使われているコードはほとんどが C Major Scale の Diatonic Chord です。Diatonic でないのは2つだけ。D (D7) とE♭dim7 だけです。D (D7) は、2次 Dominant。和声楽では Doppeldominante (Double Dominant) と呼ばれ C Major Scale では普通に登場します。E♭dim7 は Passing Diminish なので Diatonic Chord ではありませんが超普通です。コード使いから見ると C Major Scale と見てまったく問題ありません。

では、コード進行進行です。クラシックの和声楽ではあり得ない進行がいくつかあります。

✔️ 4小節目

C Major Scale で D ⇨ G は和声楽の通り何ですが、G ⇨ D7 はあり得ません。G が出たら Tonic に進むのが常道です。D7 ⇨ E♭dim7 ⇨ Am ですが、D7 は次に G に進むコードなので、これもおかしい。ただ、これだとおかしいと言うだけで何の説明にもなりません。私なりの答えは、「4小節目だけ G Major Key に一時転調している」。4小節目の Key が G だとしてそれを C に直すと、コードは G ⇨ C ⇨ G7 ⇨ A♭dim7 ⇨ Am となります。これならコード進行としてもおかしくありません。

✔️ 6小節目

和声楽では C Major Scale で Dm は G に進むんであって Am には進めません。一方 3・5小節目で Subdominant Chord は F になっているのに 6小節目は Dm になっているのはなぜだろうと言う目で見ると、ここも転調ではないかと何となく感じます。A Natural minor だと見ると辻褄は合います。これだと Dm ⇨ Am ⇨ Dm 進行が説明できます。

✔️ 9・10 小節目

C Major Scale だとすると Dm ⇨ Am は説明できません。8小節目の終わりが G なんですが、G は Tonic に進むんであって F (8小節目頭)には進めません。C Major Scale ではないとすると考えられるのは Am or Dm だと思いますが、9小節目の Dm はSubdominant に聴こえます。Am Key だと考えると Dm は Subdominant、Dm Key だとすると、Dm は Tonic になります。ここは Am Key が正解でしょう。一つ加えておくと、8小節目が G (Dominant) で尻切れとんぼになりますが、転調する場合尻切れたままでほっておけます。

色々書きましたが、「君が代」は C Major Scale で G Major と Am Key (Scale) を一時転調で持つと整理できると思います。あくまで私見です。日本の旋法にコードをつけると、普通じゃない部分は当然出てくるので、理論優先で説明することには意味がないと言うご意見もあると思います。

私が分からなかった点を正直に書いておきます。

  • 最初と最後を Unison にしている理由。
  • Omit 5 がちょこちょこ出てくる理由。なぜ 5音を抜いたのか?
  • 全部で 11小節と切りの悪い小節数に理由があるのか?

長年サラリーマンで現在プロ作曲家志望です。

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「Ex-40 「君が代」は Mixolydian or Dorian? その4」への1件のフィードバック

  1. え? 君が代は普通にDブルーノートスケールだと思っていましたが(Dドリアンとも。)民族音楽はブルーノートの概念なしに説明しようとするのは難しいのでは?