Ex-80 「One Note Samba」の半音下行
António Carlos Jobim の 「One Note Samba」 の Aメロと Bメロの半音下行進行のお話です。ポルトガル語のタイトルは 「Samba de uma Nota Só」で One note だけのサンバと言う意味ですが、英語名の「 One Note Samba」の方がずっと浸透しています。Key は C で書いています。
譜面を見てもらうと一目瞭然で同じ音が続きます。さすがに全部同じ音にはならず途中で変えているので Two notes ですが、メロは G と C音だけです。これで名曲になっているのはコード進行のおかげ。加えてコードとメロ音の関係だと思います。
✔️ 初っ端 Em7 から始まります。Em7 – E♭7 – Dm7 – D♭7 とコードが半音で下行して行きます。まず 2小節目の E♭7 ですが、これは A7 の裏コードです。A7 が 2次 Dominant で Dm7 に向かいます。4小節目の D♭7 は G7 の裏コードです。G7 – C の動き、ここでは Deceptive Cadence (偽終止) で G7 – Em7 の動きになります。
✔️ 5 〜 8小節目は前と全く同じ進行です。
✔️ 9 〜 11 小節目の Gm7 – F♯7 – FM7 の F♯7 は C7 の裏コードです。FM7 に向かう 2次 Dominant の C7 の代わりに F♯7 を入れています。FM7 を仮トニックと見做した II – V – I の動きの C7 のところにF♯7 を入れて半音下行進行にしています。
✔️ 裏コードを使うとこの曲のように半音下行進行になり、コードがスムーズに流れます。
✔️ 12小節目の B♭7 は SDm (Subdominant minor) で良いでしょう。
✔️ コードの半音下行進行は今書いた通り何ですが、もう一つコードとメロの関係があります。下の譜面の青字は当ててあるコードに対するメロの度数です。結構 Tension Note が多い。特に 11th と ♯11th でメロを動かさなくても十分聴ける曲になっているんだと思います。
✔️ 8小節目の青字の M7th ですが、D♭7 が鳴っているこの小節で M7 が鳴るのはおかしい。ただ、聴いて見ると全然おかしくありません。D♭7 は G7 の代わりなんだから、D♭7 – CM7 が普通のパターン。一方で M7th の C音はアウフタクトで次の 9小節目への誘いになるので D♭7 の影響が薄いと言うことが相まって C音がおかしく聞こえないと考えますがどうでしょう。
Tension Note をカッコ書きで入れたコードです。E♭7 ではメロが Chord Tone なので 13th を Tension Note として入れています。
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