03.8 五度圏その2
五度圏の利用法です
再び五度圏です。ここでは五度圏の使い出 (利用の仕方) を書いていきます。ハウツーも含めて。五度圏は頭に入れる必要がありますが、実際入れるのは結構大変でした。
これを頭に入れれば、
✔️ 平行調 (Relative Key) がすぐわかる。
その1 で書いたとおりです。五度圏なんかなくても、そんなの知っているという方。C の Relative minor は Am ですが、では E の Relative minor と言われてすぐ C♯m が出ますか? 「Major Key の m3 下が Relative minor なんだよ」。確かに。m3 下と聞いた途端に鍵盤を Visualize (可視化) して m3 の鍵をイメージできる人は五度圏に頼る必要はありません。
✔️ Key の調号 (♯がいくつなのか♭がいくつなのか) わかる
♯ や ♭ は C と Am の Key では付きませんが、五度圏で C から離れるに従い 一つ二つと増えて行きます。例えば、D♭ Key だったら、F が♭一つだから、F から 1, 2, 3, 4, 5 と数えて♭ 5個だとわかる。上の五度圏は左に回ると P5 づつ上行します。右だと P5 づつ下行。C から左側は調号 ♯ 側、右側が♭側です。G と Em は ♯ 一つ。D と Bm は ♯ 2つ、と言った具合。 C から右に行くと F と Dm は♭一つ、B♭と Gm は♭2つ。五度圏が頭に入れば、楽譜を見た時に Key がすぐに分かります。正確に言うと、Key を 2つに絞れます。
✔️ 調号の付け方がわかる。
D♭ or B♭m です。
B or G♯m です。
こういう風に♭いっぱい、♯ いっぱいの調号を見るとイヤーな感じがしませんか? 何でわざわざ難しくするんだ。 脱線しますが、学校の先生は「C の Key の曲を例えば E の Key にすると、ほらこんなに聴いた感じが変わります」と言っていました。確かに感じは変わりますが、それは今まで C の Key で聴いていたのでC との比較で変わったと感じるだけ。C の Key で聴いて、1時間後に E の Key で聴いたら感じが変わったとは思わない。だって平均律なんだから。各 Key に固有の色合いがあるんだよという説明には全く納得感がありません。転調は確かに曲の色合いを変えますが、それはKey が変わったことに対する色合いで、Key そのものの色合いではないと思ってます。唯一感じられるとしたら、絶対音感の持ち主だと思います。
話を戻します。上の♭が付いているのはシミラレソ (B E A D G) 、つまり五度圏の B から G に向かうと B E A D G になります。五度圏が頭に入っていれば、すぐに調号が書ける。下の ♯ はファドソレラ (F C G D A)。F から A に向かうと F C G D A になります。ただ、調号が書けることにどれだけの意味があるのかというと、ま〜ありませんね。
✔️ 強進行がわかる
コード進行で一番安定する進行は強進行です。何かと言うと 5度 (P5) 下行進行 (= 4度上行進行)。強進行は曲のあちこちで出てきます。G7 ⇨ C というコードの超基本進行の根拠の一つがこの強進行です。これまだ書いていないので、わからなくて Okay です。人の耳はこの 5度下行進行が大好きです。ピタゴラスが音律を作っていったのと逆パターン。ピタゴラスはド からソを作りましたが、それとは逆にソ (G) からド (C) に進行するのが基本のコード進行です。
✔️ 裏コードがわかる
これまだ書いていないので、わからなくて Okay です。もっと先で裏コードが出てきた時に、思い出してもらう程度。裏コードというのは同じ Tritone を持ったコードです。今はこれ以上書きません。例えば G7 というコードの裏コードは D♭7 です。五度圏の対角線上になります。五度圏が頭に入っていればその対角線上のコードが分かり裏コードが使えます。
✔️ Tritone がわかる
増4度を別名 Tritone と言うことは「03.3 音程の数え方その2」で書きました。C Major Scale で言うとファ(F) とシ (B) が Tritone で対角線上にあります。Tritone は 2つの Note の音程ですが、Tritone を含むコードにすると上で書いた (表) コードと裏コードになります。
✔️ 移調楽器の調号がわかる
移調楽器ってわかります?ドが C ではない楽器。ちゃんと言うと楽譜にドと書いてあるのでそれを鳴らすとド以外の音が鳴る楽器。いっぱいあります。例えばクラリネットは B♭管が一般的です。C管とか A管とかもあるようですが、普通は B♭管です。クラリネットでドの音を出すと実際になるのは B♭音になります。主なところだと、
- クラリネット : B♭管
- アルトサックス・バリトンサックス : E♭管
- ソプラノサックス・テナーサックス : B♭管
- ホルン : F管
- トランペット : B♭管
- トロンボーン : B♭管
この辺は吹奏楽部にいた人にとっては常識だと思います。
では一つ問題です。難問です。E♭管のアルトサックス (A Sax) に C Major Scale を吹いてもらうときの譜面の調号はどうなりますか? 普通は、A Sax は E♭管でドを鳴らすと実際になっているのは E♭なんだから、それを C にするには C と E♭の差分、つまり m3 だけ落とさないといけない。と言うことは、C から m3 下の A Major Scale で吹けば実際に出る音は C Major Scale になる。A Major Scale の調号は ♯ 3 つ。
もう一つは 5度圏を使うやり方。
E♭管で C Major Scale を吹こうとする場合、5度圏の E♭から C に向かって上がって行きます。上がって行くと書いたのは、上の 5度圏は左に回りに 5度づつ上がっていくからです。E♭から一つ上がると B♭、2つで F、3つで C になります。3つ上がったんだから ♯3つの A Major Scale。では、E♭管で例えば B Major Scale を吹こうとした場合は、左回りだと ♯ が8つになってしまうので、E♭から今度は右回りに下ります。そうすると ♭4つで B に行き着きます。♭4つは A♭ Major Scale。どうでしょう? 使えそうですか?
「5度圏を使わなくても普通のやり方で充分」。恐れ入りました。
五度圏はコード理論の基本です
This page originally written on 2020.12.25, revised on 2021.08.30 and 2021.10.16
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