10. Modal Interchange
Mode は輪郭がはっきりしない言葉です。
Diminished Chord とか Sus Chord (Suspended Chord) とか良く使うのにまだ書けていないコードについて早く書いた方が良いと思う一方で、SDm は Modal Interchange Chord の一部ですと書いておいて、それが何かを書かないで放っぽっとくのもよくないので Mode と Modal Interchange Chord について書こうと思います。
Mode はモード。日本語だと一番使うのは洋服の流行デザインのことを言うと思います。春の新作モードとか。車でも使います。エコモードとかドライビングモードとか。普通に話している時も使います。仕事モードに入ったとか休みモードから抜けられないとか。どれも無関係に見えますが、共通して引っ張り出せる意味があります。それは、全体・全容がある中の一部の様子とか派生という意味です。
洋服なら街を裸では歩けないし何より寒いから着るというのが全体。その中でも流行っているものを着るというのがモード。車は走るというのが全体。エコモードは走る中でガソリンを節約する走り方。毎日生活しているというのが全体。その中で仕事をやる気満々になるのが仕事モード。
音楽で出てくるモードも同じです。例えば C Major Scale。白鍵だけでできています。この白鍵だけでできていると言うのが全体。その並べ方がモードです。
C Major Scale は Scale (音階) です。基本の音の並びなので「白鍵だけでできている」を代表して Scale と言う名称がついています。音の並びは C, D, E, F, G, A, B。これを D から始めて D, E, F, G, A, B, C と並べるとモードになります。
音楽の Mode は日本語で旋法です。Modal Interchange は旋法交換です。現在使われている Mode は Church Mode (教会旋法) と呼ばれるもので、C Major Scale を D音から登り、次は E音から…. と登って行ってできる音の並びです。何が起こるかと言うと、全音と半音の位置がずれていきます。
私は Mode を学校の授業でやった時、物凄い抵抗感と言うか拒絶感を持ちました。ヘンテコなものを持ってこないで普通にドレミファソラシドでいいじゃないか。今はそうではないとは思っていますが、どうしても最初の印象の悪さが抜けずにいます。
皆さん、グレゴリオ聖歌と言うのを聴いたことがありますか?ヨーロッパ中世の石造りの教会で歌われていた単旋律 (Monophony) の音楽です。中世が終わりルネッサンス期に入り、その後バッハのバロック音楽の時代に入って行きます。乱暴に言えば、お経と同じですが、お経より音楽っぽい。不思議な音楽で、Tonic で終わっているのかどうか着地点がはっきりしない音楽。一つ例を出しておきます。
https://www.youtube.com/watch?v=Aoj2kGBddRA
曲というより節回し注という感じ。この節回しを整理してできたのが Church Mode と言われています。
注:学校の教科書からの引用。
「Mode と言わずに Scale (音階) と言えば良いじゃないか」「Scale と Mode を分ける必要があるのか?」
上でスッキリ説明したつもりになっていますが、実際 Scale と Mode の境目は曖昧です。とにかく音が並んでいるのが Scale なんだから Church Mode の例えば Phrygian (フリジアン) を Phrygian Scale と呼ぶ人もいるようです。ただ原則は、元になる Scale がまずあって、その Scale から派生したのが Mode です。C Major Scale は Scale ですが、そこから派生した Phrygian は Mode です。Scale は山ほどあり、こんなの絶対に使わないという超マイナーな Scale もありますが、派生してできたものでなければ Scale です。実際問題 Mode で出てくるのは Church Mode と Melodic minor 派生 Mode ぐらいなので、それらを Mode と呼んでおけば問題ないでしょう。
まずは Mode の基本情報を書きました
This page originally written on 2021.03.09, revised on 2022.01.08
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