10.2 Church Mode その 2
このページは Modal Interchange (旋法交換) ではなく Mode でできた曲についての説明です
学校で Dorian Mode の例として出された Scarborough Fair です。元々イギリスの民謡なので著作権には抵触しません。Simon & Garfunkel は Em Key で歌っていますが、Cm Key に変えます。ピアノの伴奏は Triad を全音符で鳴らしているだけです。Cm の調号で書いてます。
ごく普通のコード進行ですが、青枠のところだけ A Natural になっています。CNm Key の4番目の Diatonic Chord は Fm のはずですが、それが F になっている。上の楽譜から C音を拾い D音を拾い、E♭音を拾いとやっていくと Dorian Mode ができますよね。
今度はもっと Dorian ぽくコードを置いたつもりの Version です。
Dorian Mode には Dorian の雰囲気があり、Natural minor と一緒では Dorian だと胸を張れません。他 Mode もそれぞれ特徴がないといけない。
Mode らしさを出すためにはいくつかの要素があります。
✔️ Major Scale と距離をおく
C Major Scale では C音 or CM7 Chord が完全に主役です。主役に祭り上げているのが、G7 – CM7 の締め (Cadence) の動きです。G7 が持つ B音 (Leading Tone) は元々 C音に行きたがる音ですが、G7 の中に入ると Tritone の片割れになるので更に強くC音に解決したい。G7 – CM7 を聴くと完全に Major Scale を感じてしまうので Mode でこの動きをやってはいけません。上の Simon & Garfunkel が歌っている方の楽譜も G7 – Cm7 進行はありません。
上の楽譜 に F は出てきますが、F7 は出てきません。C Dorian の F から三度堆積すると F7 になりますが、7th は Tritone を持っているので Tritone を解決しようという動きが働いて Major Scale に近づいてしまう。なので、Mode で 7th Chord が出てきたら、7thにせず Triad とするか or F7sus4 にするかどちらかにするというのが学校の教えでした。すいません。まだ 7th Sus4 Chord はやってませんでした。7th Sus4 Chord は 7th Chord の 3rd を半音あげたコードです。これにより Leading Tone がなくなってしまう。
一つ注釈です。上で 7th Chord は使わないと書きましたが、これは学校の授業。同じ学校の教科書は 7th Chord を認めています。注意して使いなさいという但し書きで。7th Chord の使い方は微妙な感じのようです。このサイトは授業の通りで書きます。つまり、7th Chord は使わない。
では Mode の主役になる音・コードは何なのか? C Dorian なら C音・Cm7。「Major Scale と同じじゃないか」。同じです。ただ、主役度が違います。Major Scale ではこれぞ主役。Mode では多分この人が主役。これが Mode の特徴です。学校の教科書は、「平静」「単色」「浮遊感」を特徴として挙げています。
✔️ 軸音 (Axis)・軸和音
上で書いた主役をこう呼びます。主音・主和音とは似ていても違うんだよという風情で軸音・軸和音。
✔️ 特性音
前のページで書いた特性音 (CH = Characteristic Note) を並べます。学校の教科書から引用しました。
Mode | 特性音 | 理由 |
C Ionian | F | Lydian との対比 |
C Dorian | A | Aeolian との対比 |
C Phrygian | D♭ | Aeolian との対比 |
C Lydian | F♯ | Ionian との対比 |
C Mixolydian | B♭ | Ionian との対比 |
C Aeolian | A♭ | Dorian との対比 |
C Locrian | D♭ | Aeolian との対比 |
G♭ | Phrygian との対比 |
前のページで特性音とは「他のモードと違うと認識させるその Mode の特徴的な音です」と書きました。その通りなんですが、ここで私が持っている大きな疑問があります。C Major Scale (= C Ionian) の主和音である CM7 を鳴らした時の Avoid Note は F 音です。 CM7 は 9th と 13th は 取れる Tension ですが、11th の F音は Avoid Note。それが Mode と名がつくとその Mode に特徴的な特性音になる。これおかしくありません? 何かこの辺に Major Scale と Ionian の違いがありそうなんですが、ほっておいてあるので疑問のままです。
Mode に初めて接する方にとっては違和感だらけだと思います
This page originally written on 2021.03.11, revised on 2022.01.14
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