Ex-02. Low Interval Limit
Low Interval Limit (LIL) についてはどこかの章で書きたいなと思っていたんですが、うまくハマるところがなく、番外編として書きます。後でどこかの章に移すかもしれません。LIL は学校で教わったとおりだと「最下音域での音程の限界」です。
皆さんピアノの低音域を複数の音で一度に鳴らしたときにゴワーンという嫌なうなりを聴いたことありません? 低音域は音どうしの周波数があまり違わないので、いっぺんに弾くと少ない周波数の差がうなりを起こします。うなりは不快に聴こえるので、このうなりを出さない最下限はどこですかというのが LIL です。
私は PC で曲を作っていますが、何か下の方でゴワゴワ鳴っていると思うと最低音域のベースと他の低音楽器がうなりを起こしていることが多いです。
これを書くその前に Note Number を押さえておきます。まだ書いていませんでした。
青字も赤字も Note Number (鍵番号) です。赤字は MIDI の番号。青字はヤマハ式の番号です。ヤマハ式で言うことが多いようです。青字に C3 とあります。これがピアノの中央のドになります。かなり右側に書いたのは LIL の話をするからです。
注: Roland 式だとヤマハの C3 が C4 になります。
LIL を学校の教科書から引用します。F Clef (へ音記号) です。
上の五線譜をどう見るのかは少し厄介です。言い換えれば、LIL は単純に F音 なら最下限はここ、E音 ならこことはなりません。
✔️ 音程で考える必要があります。
✔️ たとえば五線譜一番左の M7。M7 は音程です。音程ということは 2つの音がなります。M7 という音程で 2つの音を鳴らせる最下限が F1 と E2 です。なので、たとえば下が C1、上が B1 だと LIL に引っかかります。では、M7 なんだから下の F1 を Root として FM7 が作れるかというと作れません。理由は、FM7 の 3rd が A1 になり、Root と 3rd の音程は M3 なので、上の M3 のところを見る必要があります。M3 が置ける最下限は D2 なので、A1 は LIL に引っかかります。なのでコードとして鳴らすためには A1 を Octave 上げて A2 にする必要があります。
✔️ たとえば P5 をみてください。完全5度だとかなり下までいきます。ただ、下の B♭0 を Root とみて B♭M7 を作ろうと思うと、3rd は D1 になります。M3 を見ると 3rd の下限は D2 なので D1 を Octave 上げればギリギリセーフになります。同じように B♭M7 の M7 は A1ですが、M7 を見ると最下限は E2 です。なので、A1 を Octave 上げ A2 にすればセーフです。
✔️ 更に厄介なのは、コードでも考える必要があります。 たとえば Dm7 を転回して 7th (C音) を一番下に置いたとします (C2 に)。そうすると 7th (=m7) が LIL に引っ掛かるか見るところは m7 になります。m7 の LIL は E♭2 なので、Dm7 の 7th は D2 に置けないことになります。
LIL わかりました? かなり面倒ですよね。もう一つ、ギターだと LIL がどうなるかも書いておきます。ギターって楽譜は G Clef (ト音記号) で書かれていますが、実際鳴っている音は Octave 下です。開放弦で見ると、下のようになります。かなりの低音。C のコードも Em7 も開放弦を使う押さえ方でこれもかなりの低音。では問題です。下の C と Em7 のコードは、LIL に引っ掛かるでしょうか?
答えは、どちらも引っ掛かるです。
まず C のコードです。C の E1 というのは音程だと M3 です。 M3 のところを見ると、M3 の最加減は D2 です。なので完璧に LIL に引っ掛かります。皆さん、ギター習いたてで C のコードを E1 の開放弦も含めてかき鳴らすといや〜な感じがしませんでした? LIL がその理由です。なので、C を押さえるときには 6弦をミ (E1) ではなくソ (G1) にするんです。
次は Em7 です。Em7 の E1 は Root です。なのでその上の音を見ると B1、つまり音程は P5 です。上の P5 を見ると 最下限は F1 なので B1 は Okay。更にその上の D2 の音程は m7。m7 を見ると最下限は E♭2 なのでギリギリアウトです。ただ、ギターのコードダイアグラムを見ると、この押さえ方が載っています。ギリギリアウトなので大目に見ているんでしょう。私は Em7 のこの押さえ方は、楽なんだけどなんだか音が悪いとずっと思っていたんですが、LIL を勉強して初めてその理由がわかりました。
今まで書いたのはあくまで理論です。要はうなりが聴こえなければいいんです。実際は楽器によっても違います。
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