Ex-20「ロビンソン」のコードの解説
スピッツの「ロビンソン」です。使っているコードですが、中学に入って親からギターを買ってもらった子供がすぐ目にするようなコードばっかしです。コード進行も基本中の基本どおり。別の言い方をするとベタなコード進行。というよりベタベタなコード進行。これ悪口を言っている訳ではなく、その逆で簡単なコードだけで名曲を作ったのは大した才能だと思います。
このページはコードもコード進行もベタベタなのに名曲は作れることを言いたかったので、取り立てて解説することもないんですが、一応それらしいことは書いて起きます。
https://www.youtube.com/watch?v=51CH3dPaWXc&list=RDMM51CH3dPaWXc&start_radio=1
原曲 Key は A ですが、いつもの通り C に直しました。2つ注釈があります。
- 1小節目の C ですが、コードを鳴らしているピアノの左手は E音を鳴らしていません。メロで E音が鳴っており、左手でも鳴らすとくどくなるので。
- 18小節目の G/F ですが、Root を F音ではなく G音にしました。F音 Root は G7 の 3rd Inversion (第3転回形) で Chord Tone なんですが、7th を低いところでピアノを鳴らすと音が濁ってしまうので。
Key を C に変えると本当によくわかりますが、ベタベタのコード。それも Triad (三和音) がほとんどです。ほとんどが Diatonic Chord。つまり、ほとんどが白鍵だけです。
✔️1小節目
C で始まっています。超普通です。C はどのコードにも進めます。
✔️2〜4小節目
Dm – G は II – V。G の先は Am です。G – C と進まず G – Am とか G – Em に進むのを Deceptive Cadence (偽終止) と言います。
✔️5〜8小節目
C と F と G だけ。何も言うことはありません。
✔️9〜12小節目
Em7 – Am7 – F – G。これも何も言うことはありません。
✔️13〜16小節目
初めて Non Diatonic Chord が出ました。
A7 と E7。A7 は次の Dm に向かう二次 Dominant です。A7 の前の Em7 をどう捉えるかですが、二通りの解釈があり、一つは C の Key の 3度 minor である Em7。もう一つは Dm という仮トニックに向かう A7 の Connected II。ただその場合、Dm が仮トニックなんだから 2度のコードは Em7 (♭5) になるはずです。普通は Key of C の 3度 minor の Em7 ととらえます。
Em7 – A7 – Dm7 – G7 というコード進行はよく出てきます。
✔️16〜17小節目
E7 – F。E7 なら普通 Am という仮トニックに向かう二次 Dominant。または、Relative minor (平行短調) の Am に一時転調した V7 と考えます。ただ、そう考えても辻褄が合いません。二次 Dominant なら E7 – Am7 であるべき。一時転調なら E7 は普通 Am のような Tonic minor に進むはずです。
前々から E7 – FM7 というコードがあちこちで出てくるのは知っていましたが、理論としてどう説明できるのかがわかりませんでした。ずっと気になっていたんですが、ようやく答えを和声学の本で見つけました。次回書こうと思います。
✔️17〜20小節目
王道進行です。FM7 – G7 – Em7 – Am7 の王道進行の Em7 を E7 に変えています。G/F は G7 の転回形です。F音も G7 の Chord Tone なので、G/F のコード機能は G7 と同じ Dominant になります。17小節目のコードが F なので 19小節目の E7 にスムーズにつながるように G/F と F音を Root にしたんだと思います。
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