Ex-57 「12月の雨」の転調
松任谷由美さんの荒井由美時代の「12月の雨」です。
https://www.youtube.com/watch?v=x2ANyT0QnG4
原曲 Key E♭を C に書き換えます。譜面は耳コピなので参考程度。端折っています。
譜面の 2段目(9小節目) までコードは全て Diatonic。
10小節目からサビですが、C7 は Non Diatonic Chord。C7 は次の FM7 に進む 二次 Dominant。次の D7 も Non Diatonic Chord で G に進む二次 Dominant Chord。
では、18・19 小節目の F#m7 をどう考えるかというのがこのページのお題です。C の Key の Diatonic Chord に F♯m7 はありません。
✔️ 曲自体ヘンテコなコードは使わずに Diatonic と二次 Dominant で進んできているのでここも二次 Dominant ではないかと考えて見ます。そうすると、Em7 を仮 Tonic と見立てる F♯m7(♭5) – B7 – Em7 があります。Em7 の二次 Dominant の Connected II が F♯m7(♭5) ですが、(♭5) を取ってしまえば F♯m7 です。実際 (♭5) を取ることはよくあります。18・19 小節目を F♯m7 – B7 に変えてみるとこんな風に聴えます。
どうでしょう? おかしくないですよね。ただ決定的な問題は、実際の曲には B7 は出てこないので F♯m7 を B7 – Em7 の Connected II と見ることには無理があります。
✔️ SDm (Subdominant minor) にも F♯m7 はありません。
✔️ そうなると C 以外の Key の Diatonic Chord から持って来たと考えるのが普通です。つまりは転調している。F♯m7 を Diatonic Chord に含むのは以下の Key になります。。
– D の Key の IIIm7 - D の Relative minor (平行短調) である Bm Key の Vm7
- E の Key の IIm7 - E の Relative minor (平行短調) である C♯m Key の IVm7
- A の Key の VIm7 – A の Relative minor (平行短調) である F♯m Key の Im7
✔️ 転調している場合一つのコードだけ唐突に持ってくるケースは少ない(ないとは言いません)のでF♯m7 – Em7 のセットで考えて見ます。このセットが成立するのは上で書いた Key の内
– D の Key の IIIm7 - D の Relative minor (平行短調) である Bm Key の Vm7
だけです。Key が E なら EM7 になるし、A だと E7 になります。
✔️ では Key は D なのか、Bm なのか? これ Key が平行関係にあると結構難しいと言うか微妙と言うか。私は Key は D だと思います。F♯m7 は D の Key の IIIm7 でこのコードは IIm7 or VIm7 に進むのが普通。この場合、IIm7 である Em7 に進み、その後 21小節目の Em7 を Pivot にして C の Key に戻る。Pivot は二つの Key の共通のコードで転調することです。この場合は、D と C の共通コードである Em7 を Pivot にして C の Key に戻す。
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