07.4 Harmonic minor Chord の構造、機能と Tension

このページは飛ばしてもらって構いません

上は C Harmonic minor の Scale です。C Natural minor Scale と違うのは、C Nm の B♭音が C Hm では B音に変わっています (上の青印) 。下は C Hm の Diatonic Chord  です。

私の持論はHarmonic minor なんて要らないなので、本当はこのページを飛ばしたい。ただ、ポップスの Scale として存在するものを飛ばすのも勝手が過ぎると思い、いやいや書いていきます。

一つ注意点ですが、Harmonic minor のように変な Scale になると、取れる Tension についての意見が割れるようです。ここで書く取れる Tension は私見なので、納得いかない方は他の説も見てください。まあ、Harmonic minor にそれだけ興味ある方はいないと思いますが。だって、使わないもん。

コードの構造は上の五線譜の通りです。特徴的なのは、コードの種類がいっぱいあることです。Major Scale はコードの種類は4つでした。M7、m7、7th、m7 (♭5)。Hm になると一つとして同じ種類のコードがありません。Hm 自体には興味ありませんが、コードの種類について書くには、Variation に富んでいるということでしょう。ではなく、てんでバラバラ。

コードの機能について、一つ一つ書くことはしません。学校の 1年次に教わったのは、「G7 と Bdim7 が Dominant と覚えておけばそれで足ります」。これをそのまま踏襲します。

繰り返します。取れる Tension とは、

  • Scale 音
  • Chord Tone と 9th
  • F音以外の Tritone 構成音
  • G7 のみ全ての Altered Tension

✔️ CmM7

C音を Root にしている以上、その上に何が積み重なっても Tm です。9th (D音) は Tension の条件を満たしています。♭13th (A♭) は 5th (G音) と♭9th なので、Tension 足り得ない。11th (F音) ですが、3rd (E♭音) と 9th です。Diatonic なので、Tension になりそうですが、M7th (B音) と 11th (F音) が Tritone を作ってしまいます。「コード理論大全」は、11th を Tension にしています。「06.6 Tension Note」でも書きましたが G7 と同じ F音と B音の Tritone が鳴るとどうしても Dominant 感が出てしまいます。Dm7 (13) ⇨ G7 ⇨ CM7 と進行する Dm7 の 13th (B音) は個人的にはありだと思いますが、CmM7という Tonic minor に Tritone はさすがに無理筋なのでは? 

上に書きましたが、取れる Tension とは F音以外の Tritone 構成音だと整理した理由もここにあります。

これ聴いてください。同じコードで 11th の Tension を加えたコードから 11th Tension なしに進行。何となく Dominant ⇨ Tonic という感じがしませんか?

| CmM7 (11)        |  CmM7        |

今度は  Dominant 7th ⇨ CmM7 です。聴いた感じ上と似てません?

|  G7 (♭13)          |  CmM7        |

どうですか? 11th の Tension を認めますか?

✔️ Dm7 (♭5)


E♭音はRoot と♭9th ですから Tension にはなれません。11th (G音) は minor 3rd の F音 とは 9th ですから Tension になれます。13th の B音ですが、minor 3rd の F音とは Tritone を構成します。F音ではないので Tritone を構成しても大丈夫です。

では、なんで取れない Tension になるんでしょう?その理由は A♭と +2 (増2度, Augmented 2nd) を作ってしまうからです。+2 は +9 (増9度 = Augmented 9th) のことです。+2 (= +9) はダメです。これを m3 と言ってはダメです。 B♭音が B音に変わったので、これは +2 です。本当は増9度 (+9) なんですが、増2度の方が、やっちゃダメ感が強く出るのでこう書いてます。 Tension の法則の一つとして

  • コードトーンと 9th にある

のが取れる Tension と言っています。増2度 (増9度 = +9 = Augmented 9th) は Tension 足りえません。

✔️ E♭+M7

E♭+M7て変なコードですね。+ が出て来たので説明しておきます。ここでの + は 5音が半音上がって P5 から +5 になったことを示す記号です。少なくとも私はこのコードを一回も使ったことがありません。11th と 13th はコードトーンと♭9th を作るので Tension 足り得ません。残る 9th (F音) は Root の E♭音と 9th なので Okay なんですが、+5th の B音と Tritone を作る F音なので使える Tension  にはなれません。「コード理論大全」は 9th は取れる Tension だと言っていますが、私は Tritone により Dominant 感が強く出過ぎだと思っています。だって、E♭+M7 (9) は、Root の E♭を上に持っていったら G7 (♭13) というこれぞ Dominant というコードになりますから。

|  E♭+M7 (9)  | CmM7   |

|  G7 (♭13)     |  CmM7    |

どうでしょう? 賛同してくれますか?

✔️ Fm7

特に言うことはありません。

♯11th だけコードトーンと 9th ではありません。つまりは増2度 (増9度 = +9 = Augmented 9th) なのでダメです。

✔️ G7

07.3 minor Scale での Dominant 7th Chord の Tension」に書きました。

✔️ A♭M7

♯9th は A♭音と増2度 (増9度 = Augmenterd 9th)を作るので取れる Tension にはなりません。違う言い方をすれば Natural 9th ではないので Tension にはなりません。

✔️ Bdim7

Dim7 コードの初登場です。このコードは全て m3 の3度堆積です。この結果、7th の音程が Diminished 7th になります。フラットがなければ A音になりこれは Root の B音から見ると 7th (m7) です。それにフラットが 付くので Diminished 7th (減7度 = dim7)。Bdim7 は幸いにも五線譜上の表記に疑問を持つことはありませんが、例えば Cdim7 だと

2つの書き方があります。正確には左側です。M7thである B音が半音下り 7th になり、更に Diminish されて、半音下がったんですから。ただ、Double Flat (♭♭) なんか見にくいですね。なので、普通は右側で書きます。Dim Chord は m3 だけで構成される、究極の暗いコードですが、実は良く使います。私もコードを当てる時に困るとすぐに Dim Chord に行ってしまう傾向にあります。困った時の Diminish。詳しくはもっと後で書きます。

以上で Harmonic minor Chord はおしまいです。変なコードばっかりなので、結局長くなってしまいました。

minor Scale で Leading Tone が欲しいがためにへんてこな Chord になっています

This page originally written on 2021.01.27, revised on 2021.10.25

長年サラリーマンで現在プロ作曲家志望です。

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