17.2 イパネマの娘

皆さんイパネマの娘は知ってますよね。António Carlos Jobim の名曲です。ネットでは Beatles の「Yesterday」の次にカバーされている曲だと紹介しているものもあります。真偽不明ですが。この曲がサビで転調を繰り返すことを知っていますか? 知っている方も多いと思います。ではこの転調を説明できますか? できませんよね。と上から言ってしまいましたが、実は私もわかっていなくて、学校の 2年目で教えてもらって初めてわかりました。

このサビ良いですよね。この曲の転調はつなぎになるコードがない突然転調です。なのに自然でゴツゴツ感とか違和感とかは全くありません。気が付かないうちに元の Key に戻っています。

これは 1964年に発表されたレコードに収録された「イパネマの娘」。1番は João Gilberto が歌って 2番は当時奥さんだった Astrud Gilberto が歌っています。

https://www.youtube.com/watch?v=c5QfXjsoNe4

原曲 A♭Major ですが C Major Key に変えます。ちなみに、この曲は F Major で書かれるのが定番のようです。Bossa Nova Songbook にも F で書かれています。

これをひと睨みしただけでわかった人がいたら脱帽です。

Bメロ終わりは CM7 です。ちゃんと書くと CM7 (9) or C6 (9) です。サビ頭の D♭M7 が出て来ると半音上げて転調したんだなと普通は思います。私はずっとそう思ってました。C ⇨ D♭に転調。CM7 の後に D♭M7 が出てくるのは D♭M7 が SDm なのでごく自然。不自然感はどこにもありません。ただ、本当は C ⇨ D♭ではなく C ⇨ A♭ です。 D♭M7 は A♭の IV M7、つまりSubdominant (SD) です。コードの機能は SD であっても D♭M7 が鳴っているので普通に耳に入ってきます。次の F♯7 は A♭ Major Key の ♭VII7 (C の Key だと B♭7)。つまり SDm。

次に D♭m7 が出てきますが、どこに転調したかわかります? サビ頭は D♭M7 と M7 Chord だったのに、今度は m7 Chord。この D♭m7 も SD です。ただ、II 度の SD。ということは B Major Key。C ⇨ A♭ ⇨ B への転調です。A7 は B の ♭VII7。SDm。

そのあと、Dm7 で C Major Key に戻ります。B♭7 は SDm。

ということでこうなります。

突然転調でもこんなに Smooth。大したもんです。

長年サラリーマンで現在プロ作曲家志望です。

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