Ex-06. メヌエットの 1 小節目
バッハのメヌエットです。 1 小節目の赤丸の音の意味がわかりますかと言う話です。Voicing つながりでこのページを書いています。この曲は超有名です。著作権が切れているからか、アラーム音なんかでも使われています。
原曲 Key は G です。上は G で鳴らしました。ただ、このサイトは C の Key で書いているので譜面は C に直しました。
まず言っておくと、私が自信満々の答えを持っている訳ではありません。この曲の譜面を見たときにこの赤丸の音って何だろう? 理論でどう説明できるんだろう? と思ったので自分なりに解釈して書いています。
1 小節目の左手が押さえているのは C Major の Chord です。なので、始まりは C Major。2小節目も何の疑いもなく C Major です。ここまではクリアーですよね。では赤丸をどう説明するか?
その前に赤丸を消去したメヌエットを聴いて見て下さい。
何かまぬけですよね。赤丸の D音が入っていた方がずっと良い。ではこの D音は理論でどう説明するか?
✔️ ネットを見るとドからミにつなげるためのレ、経過音 (Approach Note) だという説明がありましたが、違うと思います。理由は Diatonic (白鍵) だけでできた、それもバロック時代の曲で左手が押さえるのはほぼ Chord Tone だと割り切って良いと思うので。Non Chord Tone の Approach Note はぶつけて来ない。
✔️ Approach Note かどうかは別にして、ここには何らかのコードが入るはずです。D音を Chord Tone に持つのは Dm、G7、Bm(♭5)。Em7 も 7th に D音を持ちますが、バロック時代なので Em7 は除いても良いでしょう。
✔️ 左手の D音は四分音符なので、右手の E・F音のところで鳴っています。Dm だと仮定すると、E音は 9th、F音は minor 3rd です。バロック時代に Dm の 9th は無理があるだろうと思うんですが、入れて見ると意外に聴けます。
ただ、Dm は入れられません。和声楽では Dm が進めるのは G7 だけで C には進めません。現代では Dm7 – CM7 の進行は全然普通ですが、クラシックの和声楽はこれを禁じています。
G7 ではどうでしょう? G7 ではなく G を入れてみます。G7 or G なら C に問題なく進めます。普通に Okay ですね。
ネットで探していたら和音記号 (コードネームではなく和声楽で使うやつ) が入った楽譜を見つけました。G7 の Root 省略形 の第二展開形 (2nd Inversion) 。コードで書くと G7 / D omit G。こんな複雑な書き方をしなくてももっと簡単に書けます。Bm (♭5) /D。和声楽では Dominant は G7 であって Bm7 (♭ 5) を Dominant 扱いしてくれません。
どうでしょう? これですね。この G7 の Root 省略形なら次に C に問題なく進めます。響も G より良いですよね。
と言うことで、ここまでたどり着くのにいろいろ悩んでいたんですが、私が思う正解は G7 の Root 省略形だと思います。「なんだネットに教えてもらっただけか」 結果その通りです。
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