Ex-18 「クリスマスキャロルの頃には」のコード解説

稲垣潤一さんの「クリスマスキャロルの頃には」です。名曲です。サビから始まり Aメロ、Bメロと続きます。

https://www.youtube.com/watch?v=QtL9DdSJ8TY

ピアノで右手メロ、左手コード、Fill をエレピで打ち込みました。私が弾いている訳ではありません。DAW (Digital Audio Workstation) への打ち込みです。曲全部の打ち込みではありませんが、後はこの繰り返しです。原曲は E♭minor ですが、このまま書くと♭6つの調号になるので調号のない A minor に書き換えます。なぜ C Major ではなく Am なのか? 区切り区切りが A だからです。

譜面です。聴いてコードがわからない部分はネットや本を見ています。青のカッコは Fill で エレピで打ち込んでいます。

① 赤丸で囲んだ青字の ① です。Am – Em/G – FM7 – Em7 – Dm7。Bass 音が ラソファミレとスムーズに下りて行きます。Em/G の G は Em の Chord Tone なので、Em/G とは Em の第一転回形 (1st Inversion) になります。この手の Bass の動きは結構あります。

② F/G は頻発コードです。 G7 を置くのが基本中の基本ですが、G7 臭さを和らげるのに使います。G7 だと次は強進行 (P5 下行進行) と Tritone の解決で C に向かうしかないという雰囲気がムンムンするのでそれを弱めています。

③ Am の II-V-I です。気がつきました? 理論では Am の II-V-I は Bm7(♭5) – E7 – Am です。Bm7 ではありません。Bm7 は A Natural minor Key の Diatonic ではありません。ただ、実際には Bm7 を良く使います。Bm7(♭5) は Half Diminish とも呼ばれ聴いた感じがかなり暗いのでこれを避けることが多いようです。

④ この G わかります? 普通 G は Tonic Chord (C, Am, Em) に進みますが、ここでは FM7 に進んでいます。和声学は G が Tonic 以外に進むのを禁じています。と、堅苦しく考える必要はありません。この G は単に Am7 と FM7 に Diatonic に進行するためのつなぎです。その証拠に G がなるのは 6小節目の 4拍目だけです。

⑤ 11小節目と 19小節目に ⑤ と打ってあります。一番書きたかったのがここです。この Fill の動きわかります? ちゃんと質問すると、ここで使われている Scale わかります? 答えは E Altered Scale です。

Altered Scale については「13.4 G7 の Chord Scale」で書きました。上の青字が Chord Tone。5th がないのが特徴です。赤が Tension Note ですが、全て Altered Tension (♭か ♯ が付く)です。

⑥ Am7 – D/A – Am7 – D/A。A音 は D の 5th なので、D/A は D の第二転回形 (2nd Inversion) です。これにより、Bass 音がずっと A音になります。つまりはペダル。上の音の動きに関わらず Bass が同じ音をずっと鳴らしているのをペダルと言います。

⑦ メロの E音が Dm7 の 9th です。

⑧ Am – G/A – Em7/A – Am。ここも A音のペダルです。⑥ と違うのは、G/A の A音は G のコードの Chord Tone ではなく 9th。Em7/A の A音は Em7 の 11th です。

⑨ メロが FM7 の 9th です。⑦ と同じパターン。おしゃれな曲にはこのパターン (メロが Tension Note) が多いように思います。

⑩ G/F も結構出てくる Slash Chord です。G7 の第三転回形 (3rd Inversion)。

どうでしょう? Bass の動きとか参考になると思います。

長年サラリーマンで現在プロ作曲家志望です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です