Ex-24 「きらり」の王道転調

藤井風さんの「きらり」です。個人的には 2021年に聴いた J-Pop の中で一番好きです。 1990年代の渋谷系を勝手に感じています。この曲途中で転調しています。私は勝手にこの転調を王道転調と呼んでいます。そう呼んでいるのは私だけです。

https://www.youtube.com/watch?v=TcLLpZBWsck

原曲は Aメロが D の Key で、B メロで F に転調してサビで D に戻ります。例によって C の Key で言うと、C で始まり E♭に転調してサビで C に戻ります。端折ったピアノの打ち込みと譜面です。ピアノのメロは楽譜より Octave 上で鳴らしています。

譜面の一段目が Aメロ、2段目が Bメロ、サビが 3段目です。

Aメロの Key は誰が見ても C です。FM7 の Subdominant 始まりで、 A7 ⇨ Dm7 は 2次 Dominant。Dm7 – G7 – CM7 は II – V – I です。

それが 2段目になると E♭に転調します。2段目は面倒臭そうなコードが並んでいますが、Key が E♭なので C に直すのに m3 下げます。そうすると、Dm7 – Dm7/G – CM7 – FM7 になります。Dm7/G は Dm7 の Chord Tone に G音はないのでこの場合 コードの機能としては G (Dominant) になります。つまりは II – V – I。Dm/G とか Dm7/G とか F/G は良く出てきますが、どれも Leading Tone (導音) の B音がありません。G7 ⇨ CM7 と言うベタ感を避けるための手法で Neutral Dominant と呼ばれています。

8小節目の Dm7 ですが、これは E♭ Key ではなく C の Key です。この Dm7 から C に戻ります。それが証拠に「どこに」の「こ」が A Natural です。E♭KeyならA♭になるはずです。

聴いてみてどうでしょう? 下手な転調を聴いたときの気持ち悪さとか違和感とかは全然ないですよね。この理由ですが、C の Key と E♭Key の親和性の高さだと思います。仲良しどうし。

C Major Key の Parallel minor (同主短調) である C minor Key の Relative Major Key (平行長調) が E♭。C minor と E♭ Major Key は出てくる Diatonic Chord が同じです。C minor Key の Diatonic  Chord は C Major Key でも SDm (Subdominant minor) としてちょくちょく登場します。聴き慣れている。なので違和感なく聴けるんだと思います。

転調ではなく SDm ではないのか?ここの判断は微妙な場合もありますが、この曲だと明らかに転調です。理由は E♭ Key の II- V – I (Fm7 – Fm7/B♭- E♭M7) ができているから。

C Major Key から E♭ Major Key への転調は特段の準備もなくできるのでお気楽に使えます。なので王道転調。

ついでの話です。 C Major Key の場合、5度圏のすぐ横にある F とか G への転調をよく使いますが、5度圏の 90度、180度、270度にある E♭、F♯、A への転調も使いやすい転調だと思っています。F♯は転調自体はしやすいが、♯ が6つも付いて譜面を見ると頭が痛くなりそうなのであまり使いたくない。ただ、C から始まり E♭に行き F♯ – A と回って最後に C に戻るという、5度圏を一周するような転調もあるので曲作りがそんな方向に行ってしまったらイヤイヤ使っています。

最後に一つ告白です。Tension を付けているコードですが、今ひとつ自信がありません。エレピが軽くというか薄くというかコードを出していて聴き取りずらい(というか耳がわるい)。自信がないのでネットもみました。結構ネットも割れています。

長年サラリーマンで現在プロ作曲家志望です。

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