Ex-25 「時間よとまれ」の Aug コード
一つ引っ掛かっていることがあります。「きらり」のコードが何か迷ってネットに訊きに行った時に、コード表記で例えば Aaug7 と書いてあるのもあれば A7(♭13) と書いてあるものもあり、この表記でないとダメということはないと思うんですが、何か傾向みたいなものは押さえておきたいと思いました。5th が半音上がっているコードを表すのに +、aug、♯5、があって、半音上がっている訳ではありませんが、5th の半音上が鳴るコードに (♭13) があります。
それで何したのかと言うと、歌本を見て aug コードがある曲を探しました。私の見た歌本は シンコーミュージックから出ているもので 522曲も入っていますが、aug コードを使っているのは数曲しかありませんでした。見落としもあるとは思いますが。ちなみにシンコーの表記は aug で統一されており、+ とか ♯5 は出て来ません。
本題です。矢沢永吉さんの名曲「時間よ止まれ」です。原曲 Key は E ですが、C にします。
https://www.youtube.com/watch?v=XZjdX_Ea1A8
上のサイトは aug Chord が鳴っていますが、Youtube や Apple Music では数バージョンでていて、中には aug Chord を使わないアレンジをしているものもあります。
この aug って何かわかります?これ完全にラインクリシェですよね。C なら C のコードの構成音を Scale 的に動かす手法。「16.1 クリシェ」を見てください。
C – Caug の動きですから、C の 5th の G音が Caug で G♯音 に動きます。普通クリシェだと更に A音に動いて G♯音 – C音と戻るので 5th の動きは G – G♯ – A – G♯ – G、コードで言うと C – Caug – C6 – Caug – C となります。
下の譜面では Caug は Em7 に進行しているのでクリシェが途中で終わっています。ただ、Em7 のコード機能は C と同じ Tonic なので変な感じは受けません。クリシェは単一コードの中での一部構成音の動きですが Em7 は許容範囲というところでしょう。終止で G7 – CM7 は完全終止ですが、G7 – Em7 も偽終止として認められています。それと同じパターンです。
一つクリシェとまでは言えないと思いますが、クリシェっぽいのがあります。AmM7 です。Am の Root の A音が AmM7 の M7th のA♭音に動き、7小節目のメロの G音につながります。何気に G音と書きましたが、この G音は Dm7 の 11th、つまり Tension Note がメロになっています。
まとめると、クリシェで出て来るときの表記は aug か + ですね。
コメントを残す