Ex-27「白い色は恋人の色」の Aug コード

かなり古いんですが、名曲なので Standard 化していて皆さんも聴かれていると思います。結構カバーされていますが、元々ベッツィー & クリスが歌いました。歳がバレます。

原曲も下の譜面も C Major Key です。譜面はサビと次の Aメロです。6小節目がサビ終わりで 7小節目が Aメロですが、サビ終わりから Aメロにつなげているのが Gaug です。ただ、原曲では Gaug は鳴っていません。カバーで Gaug を当てているアレンジはありますが、少数派です。なぜ Gaug を出したかと言うと、私の中で Dominant Chord の G から C に進行するときの一つのパターンとして刷り込まれているからです。

https://www.youtube.com/watch?v=aF5ATASda74&t=46s

G のコードの 5th である D音が半音づつ上がっていきます。3rd の B音は Leading Tone (導音)なので C音に解決します。

聴いた感じはクリシェっぽいんですが、果たしてこれをクリシェと言うかどうか? 多分言わないと思います。普通クリシェと言ったら、C のコードの Root が落ちていくパターン、5度が動くパターン、Am と Dm の Root が落ちていくパターンです。G と言う Dominant Chord の 5度が半音上がって、その次は C と言う違うコードに落ち着くパターンはクリシェとは言わないようです。

もう一つの切り口は Gaug の 5th の D♯音を Aug と言うのか ♭13 と言うのかです。G コードの Augmented 5th は D♯音。G の ♭13 は E♭(= D♯) 音です。Aug であれば D音が D♯音に変わったと見ます。和声楽でいう「変位」です。変わったんだから Gaug が鳴っている時点で D音は消えてしまっています。

♭13 と言うなら G コードの構成音に加えて E♭音 (=♭13) が鳴ります。ただ、普通 E♭音を Tension として入れたときに D音を鳴らすかといえばそんなこともありませんので、結局出来上がりとしては同じになります。

ここまでは Gaug でも G(♭13) でも同じだよねと言う話なんですが、今度は進行に目を向けます。G – Gaug – C の場合、5th は D – D♯ – E と半音づつ上がっていきます。D音が半音上がって D♯音になりその勢いで更に半音上がって C のコードの 3rd の E音に行き着くのでスムースと言う進行。

♭13 と取らえるなら、18.11 Tension Resolve で引用した「Tension には 2度下行して Chord Tone に解決するという基本的な原則がある」に従い♭13 (E♭音) は下行して D音に進行するはずです。ただ、上の譜面の動きは下行ではなく上行です。なので私の中での正解は Gaug になります。

長年サラリーマンで現在プロ作曲家志望です。

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