Ex-36 Dorian の曲と言えば「So What 」
Dorian の Pops 曲を思いつかないので、Dorian と言えばこれという Miles Davis の「So What」です。Mode Jazz の名曲ですが、私は Jazz を知っているとはとっても言えないので書くのに少し気が引けます。学校では Dorian の有名曲として 「So What」と Simon & Garfunkel の「Scarborough Fair」をあげていました。
https://www.youtube.com/watch?v=ylXk1LBvIqU
正直言って、Improvisation を聴いているとこれが Dorian なのか私には全然わかりません。鍵盤を思い浮かべて D Dorian に当てはめようとすると白鍵だけになって Dorian なのかどうかわからなくなるので、黒鍵が2つ鳴る C Dorian に当てはめようとするんですが、いつの間にか D Dorian で聴いていたりでこんがらがります。それに D Dorian 以外の音も鳴っているので、譜面を見ない限り D Dorian と納得できません。つまりは修行が足りない。
原曲と同じ D Dorian と E♭ Dorian で鳴らしました。原曲はメロをベースが弾いています。
譜面がこれです。コードは黒本の通りです。黒本というのはリットーミュージックから出ている「Jazz Standard Bible」のことで Jazz を演奏される方の定番本と言われています。1〜8 小節が D Dorian。9〜16 小節が E♭ Dorian です。E♭ Dorian の方は無視してください。D Dorian を半音上げただけで全部 D Dorian と同じなので。
これを C Dorian に変えます。8〜16 小節は目を覆いたくなるような♭の嵐なので完全無視。
C Dorian は♭が2つ付きます。E♭音と B♭音。これを青丸にしました。赤丸は A音でこの A音が C Aeorion (= C Natural minor Scale) との違いで、Dorian の特徴的な音として特性音 (CH = Characteristic Note) と呼ばれます。譜面を見ると完全に Dorian です。
これで話が済むなら簡単なんですが、問題はコードです。黒本では 1〜8 小節までずっと Dm7、C Dorian に直すと Cm7 です。
実際 Cm7 を左手で弾いて右手で上のメロを弾くと実際の曲の雰囲気と何か違います。本当にここのコードは Cm7 なんでしょうか?
違いますよね。
ちょっとこの話は棚の上に置いて先に 2・4・6・8 小節目のたくさん音が重なっているところを見ます。まず 4拍目のコードですが、Phrase の締めのコードなので C Dorian の軸音 (Axis) を Root にした Cm7 ではないかと想像できます。その目で見ると、確かに Cm7(11) です。m7th コードは 11th が取れます。
では 3拍目のコードはどうかと見ると、音からだけ拾うといくつかのコードが出てきます。
- Dm7(11)
- G7sus4(9)
- Csus(9,13)
- F(9,13)
ではどれが正解でしょうか?まず 「10.3 Church Mode その3」で書いた C Dorian Chord を出します。
Dm7(11) はありえます。C Dorian の 2番目のコードです。G7sus4(9) はありえません。 C Dorian では G を Root としたコードは Gm7 です。Csus(9,13) も違いますね。F(9,13) ですが、確かに C Dorian のコードに F はあります。Tension として 9th と 13th が取れます。ただ Triad の上に Tension が2つも乗っかるのが気になります。普通は Triad の上に直接乗せる Tension は add 9th のように一つでしょう。ということで 3拍目のコードは Dm7(11) だと私は思います。
さて、棚から戻して 1〜8小節の Cm7 は本当に Cm7 なのかという話です。
2・4・6・8 小節目のコードは Dm7(11) – Cm7(11) と上で整理しました。この 11th という Tension は乾いた響きを持っていると私は感じています。何故感じるかというと、11th が 4度堆積のコードの乾いた感じにつながっているからだと思っています。3拍目も4拍目も一番下の音を Root と見て 4度堆積していけます。Top Note だけは 3度堆積。この曲はこのコード感が全体に流れているんだと思います。
そんな訳で 1〜8小節の Cm7 は Cm7(11) だと思います。
どうでしょう?
ちなみにリットーさんの名誉のために言っておくと、Dm7 (D Dorian の)と表記したのは全然間違いではなく、Jazz を演奏される方は Tension とか Chord Scale とか完全に体に染み込ませているので Jazz 本では Tension なんか書かないと学校の先生は言っていました。
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