Ex-73 「青春のリグレット」の Fill のコード

松任谷由実さんの「青春のリグレット」の少し変わったコード進行のお話です。原曲 Key は G minor と B♭の共存だと思いますが、説明を簡単にするために B♭とします。これを C に直します。

https://www.youtube.com/watch?v=Tjk2lAD1_fY 

16 小節目なんですが、C を Root (と言うか Pedal) にして上 (分数コードの分子) は C ⇨ D♭ ⇨ D ⇨ E♭ と半音づつ上がって行きます。浮遊感のある動き。言い方を変えると調性感の薄い動きです。Pedal の C との相性を見るとまず C はそのもの。D♭ は D♭M7 の M7th が C なのでこれも Okay。 D は D7 の 7th が C。E♭ は C を Root にすると Cm7 です。

コード進行で見ると C ⇨ D♭ は C から SDm (Subdominant minor) の D♭ への進行。D♭ から D ですが、SDm から G の 二次 Dominant である D への進行なのでないとは言えない。 D から E♭ ですが、ここで C の Key から同主長調 (Parallel Major) の E♭ に転調したとみればないとは言えない。とどんどん説明が苦しくなって行きます。上の説明は調性に基づいていますが、そもそもここの進行は調性から離れて独特の感じを出しているので調性音楽のコード進行では説明ができません。

「コード理論大全」によると同じ種類 (Major なら Major) のコードが連続するパターンを Constant Structure と呼ぶそうです。調性バリバリの II – V – I から離れたコードの動きで浮遊感や非日常感を出しています。ただ、Pops の歌ものではメロそのものに使うのは無理があると思います。なのでこの曲も歌が途切れた時の Fill として使っている。

これと似ていますが違う Fill が曲の最後にあります。

これは曲中の Fill。上の譜面の 16 小節目と同じです。C ⇨ D♭/C ⇨ D/C ⇨ E♭/C

曲の最後の Fill はこうだと思います。

C ⇨ D♭/C ⇨ D/C ⇨ E/G。これが繰り返されます。最後が E/G で分母の C をここだけ G に動かしています。私の想像ですが、E/G は次に C に戻って繰り返しとなるので E/G には薄い Dominant 感を出したかった。コードを G と考えると G音を Root にして E のコードの E音は 13th、A♭音は ♭9th、B音は 3rd。どうでしょう?

この曲ではもう一つ気になっていることがあるのでちょっと考えてから書いてみます。

長年サラリーマンで現在プロ作曲家志望です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です