Ex-76 「Subtitle」の Bメロは変拍子?
髭男の「Subtitle」の Bメロのお話です。このサイトはコードのサイトで拍子は扱っていませんが、聴いた時あれっ、これ変拍子だと思って珍しいなと思ったので例外的に取り上げてみます。髭男は今まで変わった転調で曲にインパクトを与えてきたと私は勝手に解釈しているんですが、この曲は転調ではなく拍子でそれをやってきた印象です。
原曲 Key は G♭ です。この Key は ♭ が6つ付きます。見ただけで気持ちが暗くなる Key です。5度圏で言うと、調号の付かない C の Key から一番離れた所にある Key。C から対角線の反対側です。G♭ は F♯ の Key と同じでネットを見ると F♯ で書いてある譜面もあります。
https://www.youtube.com/watch?v=hN5MBlGv2Ac
まず下の譜面の注釈です。
- Key を C に直しています。
- シンセベースがドーンと鳴っているところを青のアクセント記号で示してあります。
- コード記号が小節頭に来ていないところがありますが、コード記号が付いたところでコードが変わっています。
- 拍子記号を 12/8 にしていますが、これ 4/4 と同じです。12/8 は8分音符が3つでひと固まり。4/4 だと 4分音符の長さの中に3連符が入ります。Lettermen の 「Mr. Lonely」とか、「津軽海峡冬景色」とか「能登半島」とか「長崎は今日も雨だった」とかと同じパターン。例が古いですね。
まずこれが変拍子かどうかです。2/4 とか 4/4 ではなく 5/4 とかの拍子。ジャズの「Take Five」は 5/4。聴くと私には変拍子に聴こえるんですが、上の譜面はずっと拍子記号を変えずに書けているので変拍子ではないとも言えます。ネットに出ている譜面は拍子を変えずに書かれています。
ただ上のアクセントの場所は明らかに拍子を変えているように見えます。それで実態に合わせて書くと、こうなります。馴染みのない拍子記号ですが、12/8 は 4拍子、15/8 は5拍子、9/8 は3拍子です。このように書くとコード記号とも一致します。なのでやっぱりここの Bメロは変拍子なんだと思います。
変拍子で書き換えた譜面を見ると歌詞の切れ目がちょっと変です。5・9 小節目の最後。アウフタクトだからこれでいいんだと言う考え方もあるんでしょうけど、ここだけアウフタクトというのもちょっと変です。この辺に聴いている人をちょっと惑わせて驚かそうという意図を感じます。
これも私の勝手な想像ですが、ムソルグスキーの展覧会の絵の「プロムナード」やストラヴィンンスキーの「春の祭典」といった変拍子が入った曲にヒントを得ているんではないでしょうか?
最後にコードで一つ注釈。E7(♭9) が出てきますが、これ多分 Root が鳴っていないので E7(♭9) omit E が正しいと思います。そうすると 3rd を Root にした A♭dim7 と同じになります。ただ、A♭dim7 と書くと次の Am7 への Dominant Motion だとわからなくなってしまうので敢えて E7(♭9) と書きました。
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