09.1 もう一つの Subdominant minor Chord
D♭M7 のことです。結構使います。
前のページで Subdominant minor Chord として Dm7 (♭5)、Fm7、A♭M7、B♭7 を出しました。もう一つ出しておいた方が良いコードがあります。D♭M7。
C Natural minor Scale からできる 4つのコードに加えて D♭M7 も SDm として覚えましょうと私の行っていた学校で教わりました。ただ、すごく抵抗感がありました。だって、D♭というと C の半音上で調号にいっぱい ♭ がついて面倒くさそうという感じがムンムンしたからです。
まず、D♭M7 がどこから来たかです。
すごく変ですね。青線で示した半音の位置が変です。鍵盤に落とすと、青と赤両方が Mode 構成音で、赤が D♭M7 の Chord Tone です。
これがどこから来たかと言うと、C Major Scale の第3音、つまり E 音から音を並べたものです。これを Phrygian Mode (フリジアンモード)と言います。
E音から並べるので、E Phrygian Mode。C音から並べると C Phrygian Mode です。皆さんが思っていること。「突然 Mode という言葉が出て来た」おっしゃる通りです。突然出してしまいました。もっとあとでちゃんと説明しますが、今は何か Mode というScale の様な変なものが出て来たと思っていてください。Major Scale の途中の音から始めると Mode になるらしいと。話を戻しますが、C Phrygian Mode の第2音を Root にしてできるのが、D♭M7 です。
D♭M7 の感じを聴いてください。CM7 – D♭M7 – CM7 です。
良い感じですよね。と思っているので私は結構使います。曲の最後に CM7 で終わる時に何か単調だなと思うとよく上で書いた進行を使います。ちょっと使いすぎの傾向があるかも。
松田聖子さんの青いサンゴ礁です。
https://www.youtube.com/watch?v=mQ42aTdukMQ
古くてすいません。原曲の Key は A ですが、C に直します。イントロ頭が C で始まりますが、一小節目のC 2拍の後に出てくるのが、D♭M7 です。上で鳴らしたのと同じ進行。ネットを見ると、D♭M7 ではなく、Csus4 (C, F, G音)を入れたり、Fm を入れたりしてますが、これは違うでしょう。少なくとも私には D♭M7 / C に聴こえます。/ C は D♭M7 の M7 音である C が Root で鳴っているということを示しています。Bass がずっと C音を鳴らしてその上で上ものが D♭コードを鳴らしていると私には聴こえます。Ditatonic 感から適度に離れた良い感じ。
さてさて、今まで C Phrygian Mode から D♭M7 が来たと書いて来ましたが、話を突然つぶします。C Phrygian Mode から来たとは、学校の一年目に教わったことです。それが三年目になった時、理論の先生が、実は「ナポリの六」ですと説明を変えました。ナポリの六とは、かつてナポリの音楽家が好んで使ったことからこの名前がついたということですが、ちゃんと書くのはちょっと面倒です。ちゃんと書きますが、ここまで知らなくてもいいという方はスルーしてください。
一番左は Dm (♭5) です。 CNm の2度を Root にした Triad です。その右で D音が半音下がって D♭音になってます。これを和声学用語で下行変位と言います。その下がった D♭音を上に持っていくと、ナポリの六の完成です。Root を上に持って行くのを第一展開形 (1st Inversion) と言います。ポップス風に言えば、D♭コードの 1st Inversion。なぜ六と言うのか。展開後に一番下にきた F音から数えて D♭音は 6度になるからです (m6)。
実はナポリの II とも言います。Dm (♭5) の D音 (II) が変化してできた和音だから。どんな感じか聴いてみます? D♭ – G – Cm 進行です。上の五線譜に Bass 音を足しています。いかにも17 世紀あたりの欧州と言う感じがしません? ただ、ナポリのイメージに比べて暗くは感じます。
D♭M7 が Phrygian から来たと言うのは後付けの理屈のようです。
浮遊感を感じられるコードです
This page originally written on 2021.03.06, revised on 2021.12.29
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