Ex-23 東京事変の「緑酒」のサビの転調

テレビ東京の WBS (World Business Satellite) を見ていたらその Ending で流れていました。何気なく聴いていたらサビの終わりのところの転調が変わっているのでどんな転調をしているのか気になって調べてみました。まず正直に言っておくと、サビ終わり (13小節目以降) のコードは聴いただけではわからないのでネットをみました。

https://www.youtube.com/watch?v=OS45uTF_8P0

原曲のサビ部分は D♭Key ですが、例によって C に変えました。

譜面の中で四角で囲んだのが Key です。

✔️ 1〜4小節目: C – D – E – F と Major Scale を下から上がって行きます。定番進行の一つです。ただ、ベースはずっと C を低いところで鳴らしているので C のペダルの上にコードが乗っかっています。D/C の C音は D7 の 7th になるのでつまりは D7 なんですが、7th がベースになると独特の雰囲気が出ます。7th がベースに来たときの鳴りは覚えていて損はないと思います。

3小節目ですが、ベースで C音が鳴っているので Em ではなく CM7 に聴こえます。コード表記としては、定番進行に乗っかって Em/C の方が一般的だと思います。

✔️ 5〜8小節目: 5〜7 小節目でベースが半音下行しています。ベース音はいずれも Chord Tone なので聴いてて違和感はありません。

✔️ 13 小節目以降:ここのコードがわからなかった。不勉強です。確かにここは Triad を鳴らしているように聴こえます。四和音表記をすると、B♭7sus4 – B♭7 – A7sus4 – A7 -A♭7sus4 – A♭7 -G7sus4 – G7 – C になります。 Key は E♭から半音で落ちて行って C の Key にたどり着き終わります。

13小節目の E♭ Key は唐突に見えるかもしれませんが、C の Key との相性は抜群です。理論で言えば C の Parallel minor の Relative Major Key。 C の同主短調の平行長調になります。この曲は結構 SDm (Subdominant minor) の Fm とかを多用しているので、聴いている方の耳も C Natural minor Key に慣れて来ています。そこで CNm のRelative Major の E♭ Key が前触れもなく出てきても変だとは思わないはずです。

ただその後 Key が D で更に D♭に半音で落ちるところは正直ちょっと変だと思います。少し変わってる感を出すのが作った人の意図だとは思います。

半音下行する転調以外にもう一つ切り口があります。それは裏コードの連続という見方です。13小節目から sus4 Chord を除いて書くと、B♭ – A – A♭ – G – C となります。G に向かう 二次 Dominant は D7 ですが、その裏コードが A♭7 です。5度圏の丁度反対側。Visualize できます? D7 の 5度上が A7。その5度上は E7 ですが、E7 の裏コードが B♭7 です。7th Chord の 5度下行進行が連続するのを Extended Dominant と言います。E7 – A7 – D7 – G7 – C。これに裏コードを当てると B♭7 – A7 – A♭7 – G7 – C になります。この場合は転調ではなく Key は C のままです。

では、この曲の場合どちらが一般的か? 多分 Key は C のままで Extended Dominant の方だと思います。タイトルで転調と言っておきながら気が変わってしまいました。

長年サラリーマンで現在プロ作曲家志望です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です