Ex-63 「海を見ていた午後」の Gm7 – FM7 進行その2
前のページでサビのコード進行は Gm7/C – FM7 – Gm7 – FM7 だと自分なりに整理しました。では、この進行をどう説明するんでしょう?
https://www.youtube.com/watch?v=hb8GK-f3b_s
上の譜面は耳に自信のない私の耳コピなので間違っているかもしれませんが、一応信じると一つ疑問が湧いてきます。これって Gm7/C と Gm7 の4拍目は C7 と解釈するのが理論から言ったら正しいんじゃないかと。つまりは Gm7 – C7 – FM7 の 2次 Dominant 進行。
9小節目の 4拍目は C音とE音が重なっているのでこれだけ見たらコードは C。11小節目の 4拍目も G音とE音でコードは C に見えます。Gm7 – FM7 進行の繋ぎとして薄く C を入れて 2次 Dominant としている。
そうなるとこのページのタイトルの Gm7 – FM7 進行自体が破綻してしまいます。
困ったので歌本を見てどこかにないかと探したらありました。松田聖子さんの「瞳はダイアモンド」。原曲 Key は G ですが、C に直します。初っ端 (ド頭) は Am の Root の A音を下げていくクリシェ。Aメロの途中でも同じクリシェが登場します。
https://www.youtube.com/watch?v=ne27Cfc3cEs
これ紛れもなく Gm7 – FM7 進行です。どう説明するんでしょうか?
✔️ まず C音を Root とするどの Scale でこの2つのコードが出てくるのか見て見ます。
- C Major Scale : FM7 はありますが、Gm7 はありません。G7 です。
- C Natural minor Scale : Gm7 はありますが、FM7 はありません。Fm7 です。
- C Melodic minor Scale : どちらもありません。あるのは G7 と Fm7 です。
- C Harmonic minor Scale : どちらもありません。あるのは G7 と F7 です。
- C Diminish Scale も C Combination of Diminish Scale も C Whole Tone Scale もダメです。
✔️ Scale がダメなら Church Mode (教会旋法) で見ます。
- C Ionian : C Major Scale と同じなのでダメです。
- C Lydian : FM7 はありますが、Gm7 はありません。G7 です。
- C Mixolydian : Major Scale の B音が B♭音になります。Gm7 と FM7 が両立します。
- その他の Mode : E音ではなく E♭音になるので FM7 が作れません。ダメです。
✔️ Gm7 だけ他の Scale or Mode から借用してきたと見るなら、成立するのは
- C Natural minor Scale
- C Mixolydian
- C Dorian
✔️ FM7 の全音上に Gm7 がくる Scale、言い換えると M7 コードの全音上に m7 がくる Scale
C Major Scale で見るとM7 コードは CM7 と FM7 だけです。その内全音上に m7 コードがくるのは 主和音の CM7 だけです。Dm7 – CM7。同じように Gm7 – FM7 が出てくる Scale は FM7 を主和音とする F Major Scale になります。この進行は和声学だと完全にバツですが、Pops では使います。ただそれでもあんまり普通じゃない感はあります。
✔️ まとめると可能性として一応あるのは、
- Gm7 – FM7 だけ C Mixolydian。ただ、ここだけ Modal Change が起こっていると言う整理の仕方には無理があると思います。
- Gm7 だけ他 Scale or Mode から借用してきた。ただ、Pops の曲で SDm (Subdominant minor) 以外のコードを引っ張ってくることはあまりないと思います。
- FM7 を仮トニックとしてそこに向かう Gm7
他の可能性は思いつきません。どれもクッキリとは行きませんが敢えて私なりの結論を言うと、「Gm7 は C Natural minor Scale から借りて来た」だと思うんですが。
あくまで私がそう思うのであって、これが正しい説明なのかは正直自信がありません。
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