Ex-67 シェエラザードのコードその2
Sheherazade 第3楽章 若い王子と王女の出だしのコードについてです。下の Audio と譜面は無理矢理 Key を C にしています。
✔️ 1 〜 4 小節 C ⇨ C+ ⇨ Am
典型的な 5度が半音づつ上がるクリシェです。コード C の 5音が半音上がって C+ (= C Aug = C Augumented)。更に半音上がって Am。正確に書けば Am/C。ただ、4 小節目が本当に Am なのか? 私の手元にあるスコアでは、ここは C になっています。最初のコードは C でその後 C+ がきてその後 C に戻る。ただ、Apple Music に出ている演奏を聴くと私にはどれも Am に聴こえます。5度クリシェだと普通は C ⇨ C+ ⇨ Am。なので上の譜面は Am で書きました。スコアが間違っているのか or 私の耳が悪いのか。
✔️ 5 〜 6 小節 D7 ⇨ Dm7(♭5) ⇨ Am
これってどう理屈を付けるんでしょうか? これだと言う理屈が見つかりません。それでも2つ言えることがあります。
- D7 ⇨ Dm7 はコード進行の定番です。例えば「イパネマの娘」の Aメロ。和声楽では D7 の進む先は G7 と限定していますが、例外的に Dm にも進めるとしています。ただ、これは Dm or Dm7 のお話で Dm7(♭5) ではありません。
- Dm7(♭5) は Tritone を持っています。D音とA♭音。では同じ Tritone を持つ 7th コードは何か探すと E7 がそれに当たります。E7 なら Am の二次 Dominant。その目で見ると、Dm7(♭5) は、E7(♭9,♭13) omit E、つまり E7 の Root 省略形になります。
今書いたことをまとめると D7 と Am の間に両方の顔を立てるようにして Dm7(♭5) が入っていると私には見えますがどうでしょう。
✔️ 7 〜 8 小節 D7 ⇨ Dm7(♭5) ⇨ C
上と同じ理屈なんですが、Dm7( ♭5) は、G7sus4(♭9) omit G。つまり、Root の G が入っていない G7sus4(♭9)。なので C に Smooth につながる。
✔️ 9 〜 10 小節 G7(♭5) ⇨ G7 ⇨ Am
これは理論通りですね。G7 ⇨ Am の Deceptive Cadence (偽終止)。
✔️ 11 〜 12 小節 G7(9) ⇨ G7sus4 ⇨ F
G7 は和声学では絶対に F には進めません。Pops ではありです。この進行が成り立っている理由は以下の2つだと思います。
- Bass でずっと鳴っているのが F音。
- G7sus4 は Dominant 感を薄めた Neutral Dominant で G7 と F の間をうまく繋いでいる。
13小節目以降は「その3」に回します。理屈が浮かばないのとコードが合っているのかもう一度考えた方が良さそうなので。
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