03.6 なぜ完全音程と長短音程があるのか
「完全」と「長短」の用語分けは必然です
ものの本とかネットを見ると、完全音程は完全に協和する音程だから完全と呼ぶんだと書いてあります。あ、そうか、と一旦は納得しますが、良く考えると、音程は協和・不協和を言っているのではなく、単に度数を言っているだけ。結果として P5 だったら良く協和するし、+4 だったら不協和だと理解する。だから音程の度数の前にわざわざ「完全」という言葉をつけてこれは完全協和する音程だと言うのはおかしい。他の言い方をすれば、長短音程には協和度の高い M3 もあれば、低い m2 もある。長短が協和度を表している訳ではありません。なのに P4 と P5 は「完全」。
これからはすべて私の推測です。P4 と P5 を「完全」と呼ぶのにはそれなりの必然性があった。
赤印 2つは C音 です。青は F♯ 音です。青は 2つの赤の丁度真ん中にいます。どちらの赤からも青の音程は +4 (増 4度) = -5 (減5度) です。もし F音 が P4 ではなく、m4 (短4度) だとすると、青の F♯ 音はM4 (長4度) になります。C Major Scale では、「長」と言う音程はスタメンの証です。なのに、F♯ 音というスタメン落ちが「長」を名乗るのを許せますか? F音 が M4 (長4度) だとすると、F♯ 音は +4 になり辻褄が合いますが、そうなると m4 (短4度) は E になり、M3 (長3度) と m4 (短4度) が同じになってしまう。下がり気味のForwardと上がり気味の Mid Fielder の Position がかぶってしまう。
G音 を短5度と見ると、F♯は -5 (減5度) になり、辻褄は合いますが、長5度は G♯ になり、スタメン落ちが「長」を名乗ることになります。
上の図を見るのは初めてだと思います。だって、私が作ったんだから。これは F♯音を山のてっぺんにおいて Scale 音を山の斜面に配置したものです。白と黒は白鍵と黒鍵です。
一番下の段は C音 と C音。鍵の色は白と白。同じパターンは上から 2番目の段の F音 と G音 にも言えます。どちらも鍵の色は白と白。他の段はすべて鍵が白と黒になります(白で揃いません)。山の左側のC音から登ったF音と山の右側の C音から下った G音は等距離にあります。なぜ等距離だとわかるのか? 同じ段にあるからです。どちらも音程は P4。では、山の左側からドレミと登ったE音と山の右側からドシラと下った A音の距離はどうでしょう? 違いますよね。どちらも音程としては 3度なんですが、距離が違うのでこの 3度は区別が必要になります。この区別を「長」と「短」でつけています。
F音とG音は同じ段にありますが、D音とB音、E音とA音は同じ段にはありません。ということは、2度にも 2種類あり、3度にも 2種類あるということです。なので長短で区別する必要が出て来ます。6度と 7度も同じ理屈です。左側の C音から始まり頂上の F♯音を超え A音に至るのが長6度 (M6)。右側の C音から始まり頂上の F♯音を超え E音に至るのが短6度 (m6)。
何が言いたいかと言えば、「完全」音程と「長短」音程は適当に名前をつけたわけではなく、用語として分ける必然性があったということです。長短音程は左側のドから見るのと右側のドから見るのでは長短が逆さになりますが、完全音程はそのままだというカラクリはここにあります。
わかりました? 理屈のための理屈のように聞こえました? 納得感がなかった人にもこれだけは言いたいと思います。鍵盤をいろんな角度というか切り口で見ることは大切です。
「完全」と「長短」の違い。どうでもよかったですか?
This page originally written on 2020.12.29, revised on 2021.09.08
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